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映画『シルミド』感想。

3.5
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『シルミド』は2004年に公開された韓国映画。日本で「韓ドラ」と言われるような恋愛ジャンル以外の韓国映画が注目されるようになったのは最近の事のように思えるけれど『シルミド』はかれこれ18年前に公開されている。韓国にはその頃からすでに面白い映画を作る土壌はあったのだなぁ。

『シルミド』は実話ベースの作品で1971年に韓国政府が極秘に進めた朝鮮民主主義人民共和国の金日成首相暗殺計画と、それにかかわった韓国の北派工作員部隊(684部隊)の物語。

ただし「実話ベース」と言っても映画用に多少の改変はあるとのこと。

今回は実話ベースの作品なので軽いネタバレ込の感想です。ネタバレNGの方はご遠慮ください。

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シルミド

シルミド
실미도
監督 カン・ウソク
脚本 キム・ヒジェ
製作 シネマ・サービス
出演者 アン・ソンギ
ソル・ギョング
音楽 チェ・ヨンソク
ハン・ジェグオン
公開 大韓民国の旗 2003年12月24日
日本の旗 2004年6月5日

ざっくりとこんな内容

1968年1月19日に起こった北朝鮮の工作員による韓国大統領暗殺未遂事件をきっかけに、報復措置として北朝鮮の最高指導者金日成を暗殺するた計画がはじまった。

韓国政府は死刑囚や犯罪者達31人に任務成功後の賞金と身の安全を保障することで、684部隊を編成した。

684部隊は隊員らは仁川沖に浮かぶ無人島、実尾島(シルミド)で秘密裏に過酷な訓練を施される。3年間の訓練は苛烈を極め、最中に7人の隊員が死亡している。

訓練が終わり『殺人兵器』に育てられた彼らが北朝鮮への潜入を敢行しようとした矢先、劇的な南北和解ムードの到来により作戦が中断されてしまう。

情報部は用済みになった部隊の抹殺を決意し、非情な命令を下した。

韓国版フルメタル・ジャケット

『シルミド』は死刑囚とか犯罪者を孤島に連れ行って訓練し、一流の暗殺者に育て上げる…ってターンが長いのだけど、訓練ターンは『フルメタル・ジャケット』が好きな人ならグッとくるものがあると思う。

だけど『フルメタル・ジャケット』の場合はあくまでも軍隊の中での教練の範疇…って感じだったけれど『シルミド』の場合、兵士達は訓練中、本当に死んでしまう。史実でも31名中7名が訓練中に亡くなっているとのこと。

兵士達は「どうせ死刑囚だし死んでもいいだろ?」みたいな扱いを受けるので『フルメタル・ジャケット』より非人道的。悪人達ではあるものの、あまりに非人道的な扱いをされるので見ていて「可哀想に…」みたいな気持になってしまった。

訓練は猛烈に厳しくて理不尽なのだけど「元死刑囚」なだけあって体力的に優れている人間が多く、兵士達は鍛えられて強くなっていくし共に辛い訓練を受ける中で友情のようなものが芽生えていく。その流れ…スポ根好きには刺さると思う。

逃げ出す兵士もいた訳ですが…

兵士たちは厳しい訓練を受けて強くなっていくのだけれど、当然ながらドロップアウトする人も出てきてしまう。

2人の兵士が島から脱走して隣の島へ。こともあろうか一般人女性をレイプする場面があるのだけれど、このレイプ場面はかなりキツかった。

実際、韓国は性犯罪大国で世界順位の5指に入るそうなので「まあまあ、ある話」なのかも知れないけれど、描き方がエグくて女性視点で見ると嫌な感じではあった。韓国は男尊女卑が厳しい国だと聞いてたけど、それにしても酷い話だ。

唐突に訪れる南北和解ムード

厳しい訓練や仲間の死を乗り越えて「さあ、金日成の首を取りに行くぞ!」と気持が高まったところで、唐突に金日成暗殺計画が中止されてしまう。

中止されただけなら良かったのだけど、その後の展開が酷い。国家秘密を保持するために684部隊の兵士達は全員抹殺されることになってしまう。

そもそも兵士達はシルミドに送られた時点で「存在しない人間」になっていて、仮に金日成暗殺が成功したとしても始末される運命ではあった。いや…確かに死刑囚達かも知れないけれど、流石に可哀想では…って話だ。

ましてや684部隊を育ててきた教官達は兵士達に情が移っている状態なのに「いらなくなったから始末せよ」と言われても「分かりました」とはなかなか言えない。そりゃそうだよな…って話だ。

そんな中、684部隊は決起して自分達の存在を世に知らしめることを決意する。

自分達を殺そうとしている教官達と戦い、大統領に直訴しようとする訳だけど、ここからラストまでの流れは、ただただ不幸のオンパレード。

上手くいく訳ないんだよなぁ…ラストは伏せさせて戴くので気になる方はご自身の目で確かめて欲しい。

『シルミド』はとにかく酷い映画だったのだけど、最後に1つ付け加えさせてもらう。

映画の『シルミド』で兵士達は死刑囚だったりしたけれど、実際のシルミド事件を起こした684部隊の兵士達は死刑囚でも何でなくて公募で集まった一般人だったとのこと。映画よりも史実の方がもっと酷い。

シルミド事件は韓国でずっと隠蔽されていたそうだけど『シルミド』の公開によって684部隊への注目が高まり、韓国政府当局公的な報告書を提出している。

たぶん…だけどシルミド事件のような事はどこの国にもあるのだと想像する。

『シルミド』は映画としての出来云々だけでなく「問題提起する」とか「人に何かを考えさせる」という意味で素晴らしい作品だと思った。

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白い木蓮の花の下で