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映画『15時17分、パリ行き』感想。

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『15時17分、パリ行き』はクリント・イーストウッドが監督した実話ベースのアメリカ映画。

クリント・イーストウッドって、昔は「ダーティハリーの人」って感じだったけれど、最近『アメリカン・スナイパー』とか『ハドソン川の奇跡』とか実話ベースの映画監督のイメージが強い。

そして今回も実話ベース。2015年8月21日に高速鉄道タリス車内で起こった銃乱射事件を描いている。

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15時17分、パリ行き

15時17分、パリ行き
The 15:17 to Paris
監督 クリント・イーストウッド
脚本 ドロシー・ブライスカル
原作 ジェフリー・E・スターン、スペンサー・ストーン、アンソニー・サドラー、アレク・スカラトス
『The 15:17 to Paris: The True Story of a Terrorist, a Train, and Three American Soldiers』
製作 ジェシカ・メイヤー
ティム・ムーア
クリスティナ・リヴェラ
クリント・イーストウッド
製作総指揮 ブルース・バーマン
出演者 スペンサー・ストーン(英語版)
アンソニー・サドラー(英語版)
アレク・スカラトス(英語版)
ジュディ・グリア
ジェナ・フィッシャー
音楽 クリスチャン・ジェイコブ
トーマス・ニューマン
公開 アメリカ合衆国の旗 2018年2月9日
日本の旗 2018年3月1日

あらすじ

映画の主人公であるスペンサー、アレク、アンソニーの3人組は小学校では悪ガキ、問題児として知られていた。

しかし3人はいたずらをしたり、戦争ごっこをしたりと楽しい少年時代を過ごす。

ある日、アンソニーは転校することとなり、シングルマザーに育てられていたアレクは、父親に引き取られ3人はバラバラになってしまう。

離れ離れになった後も3人の友情は途切れてることなく、青年になってもその関係は続いていた。

スペンサーはバイト先で海軍兵士と会話し「自分も誰かを救いたい」という想いを抱き、アメリカ空軍のパラレスキュー隊に入隊する事を決意する。しかし、アンソニーに「お前はこれまで何もやり通した事が無い」と否定されてしまう。

スペンサーは一念発起して身体を鍛え、優秀な成績でアメリカ空軍への入隊を決めますが、奥行きの検査(視力検査)が不合格だった事から、志望したパラレスキュー隊に入ることが出来なかった。

仕方なくスペンサーは、SERE指導教官という職種を選ぶ。

しかしパラレスキューに入れなかったスペンサーは訓練に身が入らず、寝坊して遅刻。与えられた課題を雑にこな…等の態度が問題となり落第してしまう。

スペンサーは別の空軍基地で防衛手段と救急部隊に入ることになる。しかし、そこは「大人の託児所」と呼ばれるような場所だった。要するにアメリカ軍の落ちこぼれが配属される部署だったのだ。

しかしスペンサーは救命救急や柔術の教習を受けながら少しずつ真面目に生きることに気付いていく。

一方、州兵となったアレクはアフガニスタンに派遣されていた。しかし、アフガニスタンは想像するよりも平穏で退屈をしているところにスペンサーからSkypeで連絡が入り、ヨーロッパ旅行の計画を立てます。

アレクとヨーロッパ旅行に行くことが決まったスペンサーは、アンソニーも誘いました。

アレクがドイツで友人の女性と会って、2人と合流する事になった為、スペンサーはアンソニーとイタリアで合流、同じく観光旅行に来ていた女性リサと共に、イタリアの旅行を楽しむ。

スペンサーはリサに「この後パリに行く予定」と告げると、リサは「パリは楽しくない、お勧めしない」と言われます。

リサと別れたスペンサーとアンソニーは一路ドイツへ。

2人はドイツのバーで知り合った老人に「アムステルダムは最高だ」と勧められて、次の行き先をランダのアムステルダムに決定する。

アムステルダムでアレクも合流し、3人はパリに向かう。

そして15時17分、3人はアムステルダムからパリに向かう高速列車タリス号に乗り込み、思いがけない事件が起こる。

ズッコケ3人組的な

主人公の3人組は小学校では「落ちこぼれ」だった。

3人はそれぞれ黒人だったり、1人親家庭だったり、アメリカ人がイメージする「普通の家族」とは少しズレていて、本人達もそれを自覚している。

そんな3人が大人になるまで友情を育み、テロリストから市民を守ったヒーローとなり、フランス大統領から勲章までもらってしまう…まさにアメリカンドリーム!

日本人の我々からすると「ズッコケ3人組がフランス大統領から勲章をもらった」くらいのノリだと思う。

しかもこの映画。役者さんじゃなくて本人が出演して撮影された…って言うから凄いではないか。主人公の3人組だけじゃなく『15時17分、パリ行き』には実際に犯人に撃たれて重症を負った乗客男性と妻も本人役で出演している。

これってクリント・イーストウッドだから出来たんじゃないかな?

ある日、クリント・イーストウッドから「ヘイ、ユー! 俺の映画に出演してくれないかい?」って電話がかかってきたら、そりゃOKするよね…って話。(たぶんクリント・イーストウッドはこんな失礼な誘い方はしていいない)

茶化して書いてしまったけれど『15時17分、パリ行き』はクリント・イーストウッドの実績と人柄あってこその作品なのだと思う。

ビックリするほどバランスが悪い

「駄目っ子3人組がテロリストから市民を救うヒーローになる」と言う浪漫あふれる作品ではあるのだけれど、最初から最後まで面白かったか…と言うと、実はそうでもない。

この作品はザックリ言うと4つの要素で構成されている。

  1. 3人の少年時代
  2. スペンサーの軍隊時代
  3. 大人になった3人のヨーロッパ旅行
  4. テロ事件での大活躍

3人の少年時代の物語は文句なしに面白いし、スペンサーの軍隊時代も戦争映画が好きな人なら楽しめると思う。

問題はヨーロッパ旅行のターン。中だるみ感が凄くて面白くない。それなのにこの部分が無駄に長い。

電車に乗り込んでからのテロ事件の場面は面白かったし、ラストも良かったけれど全体的に観るとバランスが悪過ぎる。

だけどこの映画は「伝記映画」の扱いなで事実を忠実に再現しているとのこと。

「だって実際にそんな感じだったんだから仕方ねぇじゃん」って言われてしまえば、何も言えないんだけど、ヨーロッパ旅行のダラダラしたターンはもう少し削っても良かったんじゃないかと、クリント・イーストウッドに問い詰めたい。

メッセージ性はあるよね

正直、映画としてはあまり面白くなかったのだけど「人々を勇気付ける作品」として素晴らしいと思う。

実際、主役の3人組は子ども達から沢山お手紙をもらったそうだ。

子どもの頃、落ちこぼれだった人が沢山の人の命を救ってヒーローになる。フランス大統領から勲章を貰って、地元に戻ったらパレード。

……確かに浪漫あるよなぁ。

正直、私の中で映画としての評価は低いのだけど「普通(だった)人」に焦点をあてて映画を作るクリント・イーストウッドの姿勢は素晴らしいな…と思った。

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