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映画『エセルとアーネスト ふたりの物語』感想。

2.5

『エセルとアーネスト ふたりの物語』は2016年に公開されたイギリスのアニメ映画。

アニメ映画…と言っても日本人がイメージするアニメとは違っていて絵本の世界をそのまま映像化したような作品。原作者のレイモンド・ブリッグズは作家で日本では『さむがりやのサンタ』とか『スノーマン』を読んだことのある人が多いと思う。

『スノーマン』はアニメ映画化されたことがある上に、キャラクターグッズ等も展開されていた。

『エセルとアーネスト ふたりの物語』はレイモンド・ブリッグズの両親の人生を描いた作品で公開当時はなかなか高評価を得ていた記憶がある。先日、アマゾンプライムで開放されていたのに気が付いて、なんとなく観てみた。

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エセルとアーネスト ふたりの物語

エセルとアーネスト ふたりの物語
監督ロジャー・メインウッド
原作レイモンド・ブリッグズ(バベルプレス刊)
出演者ブレンダ・ブレッシン ジム・ブロードベント ルーク・トレッダウェイ
音楽カール・デイヴィス
エンディング曲ポール・マッカートニー
公開イギリスの旗  2016年10月28日 

ざっくりとこんな内容

メイドとして働くエセルは窓から雑巾の埃を払っていたとき、階下の道路を自転車で通りかかった牛乳配達人のアーネストと偶然目があった事をキッカケに2人は付き合いはじめ、いつしか愛し合うようになる。

そしてエセルととアーネストは結婚し、ロンドン郊外のウィンブルドンパークの側の小さな家で生活をスタートさせる。

アーネストは牛乳配達人として堅実に働き、2人は質素ながらも幸せな毎日を送っていた。結婚後、なかなか子どもが授からなかったが2人の間に息子レイモンドが誕生する。38歳のエセルは難産だったため、これ以上の出産は無理だと医師に告げられる。

エセルとアーネストはひとり息子を大切に育てていたが、戦争の影忍び寄ってくる。そして英国はドイツに宣戦布告し、戦争が始まってしまう。

子どもたちは田舎に疎開することになり、5歳のレイモンドも親戚の家で暮らすことになった。約8ヶ月に渡るドイツの激しい空爆を耐え、ようやく戦争が終了。ロンドンに平和が訪れ、再び一緒に3人で暮らせる日々がやってきた。

しかしそれも束の間、レイモンドは全寮制の学校へ進学する。

エセルは、レイモンドを良い学校に入れ、オックスフォードやケンブリッジといった名門大学に進ませたいと思っていたが、レイモンドは美術学校進学の道を選びます。

エセルとアーネストは息子が美術で食べていくのは難しいのではないだろうかと心配するが、レイモンドは独り立ちして2人の元を巣立っていく。

そして時は過ぎ、1970年代。エセルとアーネストは年をとり老人と呼ばれる年齢となり…

普通のイギリス夫婦の40年間

『エセルとアーネスト ふたりの物語』を簡単に説明すると牛乳配達人とメイドのカップルが結婚して子どもを授かり、夫婦仲良く40年暮らしましたとさ…って感じ。それ以上でもそれ以下でもない。

家族愛とか夫婦愛とか、そういうところを感じたい人にはもってこいの作品。

エセルとアーネストは「当時の良識的なロンドン市民」として描かれていて、40年の間には戦争があったり、家族の中に小さな波風が立ったりするのだけれど、ずっと寄り添い続けた2人の姿は実に尊い。

なんと言うか…大人向けのアニメ作品だと思う。

大人になると、子どもの頃に普通だと思っていたことが案外普通じゃないことに気がつくことがある。

  • 結婚した夫婦はには子どもができるのが普通。
  • 夫婦は愛し合うのが普通。
  • 家族は仲良く暮らすのが普通。
  • 子どもは親の言うことを聞いて大学に行くのが普通。

……だけど私達大人は知っている。それら「普通」を達成するのは案外大変だ…ってことを。だからこそエセルとアーネストが添い遂げる姿にグッとくるのだと思う。

個人的には面白くなかった

「エセルとアーネストが添い遂げる姿にグッとくる」と褒めておいて言うのもなんだけど、個人的には面白さを感じることができなかった。

原作を大切にした結果、そう言う演出にしたのだろうけど、とにかくダルい。

話のテンポが悪くて、いつまでも似たような映像を観せられるのは正直言って退屈だった。理屈の上では「これは夫婦の愛と絆を描いた作品だから派手なエピソードも演出もいらない」と分かっていたけど、アニメーションがのっぺりしているので、どうにも気だるくて仕方がなかった。

もしこれが実写映画化された作品で演技派の役者さんが演じてくれていたら、もしかしたら印象は違っていたのもか知れないな…とは思う。

良質なアニメーションを浴びるように観て育った日本人からすると「なんか色々と古臭いな…」みたいな気持ちになってしまった。

昔の価値観がちょっとしんどい

私が『エセルとアーネスト ふたりの物語』を楽しむことができなかったのには、もう1つ理由がある。

エセルにしてもアーネストにしても世代的に言うと私の祖父母世代の価値観を持った人達なので、彼らの話を聞くのが正直しんどかった。時代背景を思えば仕方のないことではあるけれど、分かり合えない感が凄くてどうにもこうにも。

「こんなに良さそうな作品なのに好きになれなくて、なんかゴメンね」みたいな気持ちになってしまった。

ひと言で言うとアレだ。私はエセルもアーネストも好きになれなかった…ってことだ。

夫婦愛を描いたアニメ作品と言うと『この世界の片隅に』を思い出すけれど『この世界の片隅に』はむしろ好き。なのに『エセルとアーネスト ふたりの物語』は無理。どちらも今どきのアニメーションのタッチではなく、どことなくコンセプトも似ているのに、さじ加減1つで両極端な感想を持ってしまうのだなぁ。

夫婦愛を描いた心温まる作品だとは思うものの、私の心にはまったく刺さらなくて残念だった。

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白い木蓮の花の下で
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