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映画『キャスト・アウェイ』感想。

3.5
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『キャスト・アウェイ』は2000年のアメリカ合衆国のサバイバルドラマ映画。

監督・製作はロバート・ゼメキス、主演はトム・ハンクスと豪華スタッフでの制作でアカデミー賞数部門にノミネートされるも受賞には至っていない作品。

トム・ハンクス演じるチャックの乗った飛行機が太平洋で墜落し、チャックが無人島で過ごした日々が描かれている。ちなみに実話ベースではなく、完全なフィクション作品。

今回は盛大なネタバレ込の感想なのでネタバレNGの方はご遠慮ください。

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キャスト・アウェイ

キャスト・アウェイ
Cast Away
監督 ロバート・ゼメキス
脚本 ウィリアム・ブロイルズ・ジュニア(英語版)
出演者 トム・ハンクス
ヘレン・ハント
ニック・サーシー
音楽 アラン・シルヴェストリ
公開 アメリカ合衆国の旗 2000年12月22日
日本の旗 2001年2月24日

ざっくりとこんな内容

チャック・ノーランド(トム・ハンクス)はアメリカ大手の配送会社フェデックス倉庫の生産性解決に世界中を飛び回るシステムエンジニア。

チャックははテネシー州メンフィス在住のケリー・フレアーズと長年付き合っている。親族と過ごすクリスマスの最中、チャックはマレーシアでのトラブル解決のため呼び出される。

しかし、チャックの乗った飛行機は悪天候のため、彼の乗った貨物機は太平洋に墜落。チャックは脱出し、緊急用救命ボートに乗り込み意識を失うがクルーは誰一人助からなかった。

一夜明け気付くと、ある島の海岸に漂着している。彼が島を探検すると、無人島であることが判明する。

墜落機の積荷が何箱も海岸に漂着する。パイロットの遺体も一体漂着するので埋葬する。

はじめは、救助信号を砂浜に描き、救命ボートの残骸で脱出を試みるが、高波に阻まれ失敗する。

チャックは食料・水・住処となるべき場所を探し、荷物の箱を開封して使えそうな物を選り分ける。ただ一つ、天使の羽が描かれた箱だけは開けずいた。

ある日、チャックは火を起こす時に手に負った怪我に怒り、ウイルソン製のバレーボールを投げつける。

表面に付いた血痕を利用してボールに顔を描き、バレーボールに「ウィルソン」と名前を付けて友達とする。

……そして4年の歳月が過ぎた。

チャックは槍で魚を獲り火も使い慣れるなど、島の不便な暮らしに適応していく。ウィルソンには絶えず話しかけ、時には当たり散らすなど、ボールが唯一の仲間となっている。

そんな中、仮設トイレの板が流れ着く。チャックはそれを帆にして筏をり航海に適した天候を見計らい、ウィルソンを従え島から脱出を試みる。そして……

1人ぼっちの漂流記

とりあえず私は漂流記物が大好物なので『キャスト・アウェイ』は漂流記ってだけでも点数が高い。

世の中には数々の名作漂流記物がの生み出されている。小説で思い浮かぶのは『ロビンソン・クルーソー』とか『十五少年漂流記』あたりだろうか。往年のアニメ『南の島のフローネ』も漂流記だし、映画だと『青い珊瑚礁』とか『蝿の王』なんかもある。

そしてここで思い起こして欲しい。名前を挙げた作品は実のところ全て複数人で漂流している。『ロビンソン・クルーソー』でさえ、物語の途中で「フライデー」と言う仲間(下僕)が登場する。

ところが『キャスト・アウェイ』のチャックは無人島で暮らした4年間、最初から最後まで1人ぼっちだった。

1人ぼっちの漂流記と言うと、映画作品の『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』が挙げられるけれど、こちらは227日間の物語。長期間、無人島での1人暮らしを描いた作品は珍しい気がする。

『キャスト・アウェイ』を観て思ったのは「1人で生きていく」って予想以上に辛いことなんだな…ってこと。

チャックは無人島での1人ぼっち生活を送る中、バレーボールに自分の血で顔を描いた物に「ウィルソン」と名前を付けて友達としている。このウィルソンはチャックにとって親友であり、生きるよすがとなっていく。

無人島でのチャックの孤独は観ていて本当に気の毒だった。

誰も悪くないのに不幸が過ぎる

チャックは無人島暮らしをするのまでに恋人がいた。

チャックは無人島の生活の中でバレーボールのウィルソンだけでなく、恋人の写真が入った懐中時計を心の支えにしていのだけど、4年後に生還した時には恋人は別の男性と結婚して子どもまでいた。

……酷い…酷過ぎる。

だけど恋人の立場から見ると、恋人が飛行機事故で行方不明になって「たぶん死んでる」って状況になっているのに、ずっと恋人を待ち続けろ…って言われても辛過ぎないか?…って話だ。しかも自分が1番辛い時に寄り添ってくれる男性がいたら、そりゃあ好きになるだろう。

生還したチャックと恋人の再会のくだりは本当に気の毒だった。だって、どちらも悪くないのだもの。

結局、チャックは恋人を責めるでもなく身を引くことになる。チャック…立派過ぎだし可愛そう過ぎる。だけど恋人だって気の毒だ…ってことで、とにかく不幸な展開だった。

どっこいそれでも生きていく

『キャスト・アウェイ』はとにかく不幸で気の毒な話だけど「それでも人間は生きていくなくてはならない」ってところが、この物語の核だと思う。

実はチャックは無人島生活が辛くて自殺を考えたことがあるけれど、それでも「やっぱり生きていこう」と決意している。だからこそ生還して恋人を失った事を知り、これから先、どんな風に生きていけばよいか分からなくなった時も「生きよう」という強い意思を持てたのだと思う。

『キャスト・アウェイ』はアカデミー賞のいくつかの部門でノミネートされるも、1つも受賞出来ていないのだけど、なんとなく理由は分かる気がする。

アメリカ人の好きなハッピー要素が無さ過ぎる!

作品を通じてチャックはほとんど笑っておらず、笑顔の場面も「満面の笑み」ではなく、なんとも切ない微笑みに留まっている。なんと言うのかなぁ…しみじみ味わう系の日本映画のオチ…って感じ。

だけど私は『キャスト・アウェイ』を評価したいし良い作品だと思う。漂流記物として素晴らしいのもそうだし、トム・ハンクスの演技も素晴らしかった。漂流記物が好きな方には是非観て欲しい作品。

なかなかの名作だと思う。

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