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ふたご 藤崎彩織 文藝春秋

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予備知識ゼロで図書館で題名に惹かれ、中身をパラッとしただけで借りてみた。

創作の世界において「ふたご」をテーマにした作品は掃いて捨てるほどある。萩尾望都の『半身』のように、双生児がテーマの作品もあれば、俗に言うところの「魂のふたご」がテーマの作品もある。

この作品の「ふたご」は赤の他人。しかも片方が「ふたごみたいだね」と言っているけど、言われている方はそんな風に思っていない…と言う書き出し。この発想は既存のふたご創作には無かったパターン。

ワクワクしながら手に取ったのだけど、撃沈した。

一応、直木賞の候補作とのことだけど、私の心にはまったく刺さらなかったし、酷い感想になると思うので作者や作品が好きな方は感想を読むことを遠慮いただいた方が良いかもです。

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ふたご

ザックリとこんな内容
  • SEKAI NO OWARI のSaoriが初めて書いた作品。第158回直木賞候補作。ピアノだけが友達の孤独な少女の夏子は、風変わりな少年、月島と出会う。
  • 夏子は月島に振り回され、傷付きながらも月島に寄り添う。
  • ある日月島は「バンドをやる」と宣言。いつしか夏子も彼のバンドに入ることになるのだが……

感想

結論から先に書くけど、この作品がSEKAI NO OWARIのメンバーが書いたと知っていたら絶対に読まなかった。知らずに読んだ自分が悪いのたけど、どうにもこうにも…って感じの作品だった。

『ふたご』を一行で説明すると精神病の男と振り回される女の共依存…って感じ。

SEKAI NO OWARIのファンなら楽しく読めるだろうな…とは思う。ファンと言うもはそうでなくっちゃいけない。私とて好きな作家の作品なら、パッとしない仕上がりでも「なるほど…あの作品のルーツはここにあったのか」的な楽しみ方をするし、駄作でもそれなりに楽しく読める自信がある。

だけど、それってファンじゃない人間には苦行でしかない。

悪いけどメンヘル彼氏(または彼女)に振り回される話なんて世の中には腐るほどある。その中で抜きに出る…となると、それ相応の説得力が必要だと思う。

才能があれば何をやっても許される訳じゃないし、精神病なら何をしても許される訳ではない。だけど「酷いことされても好きだからしょうがないね」ってところがこのタイプの作品の落とし所になりがちなのだけど『ふたご』は完全にテンプレに沿っていただけで新しい切り口が何もなかった。

……私には1ミリも作品の良さが理解できなかったし、控えめに言って壁本(読後、壁に叩きつけたくなる本)だった。もちろん図書館で借りた本なので壁に叩きつけたりはしなかったけど。

本を選ぶ時はもう少し慎重になろう…と言う教訓を得た1冊だった。

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