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海蝶 吉川英梨 講談社

吉川英梨は初挑戦の作家さん。ミステリの分野で活躍されているようだけど、私はミステリ小説はほとんど読まないので全く知らなかった。

内容を知らず、題名に惹かれて図書館で借りてみた。ちなみに題名になっている「海蝶」とは女性の潜水士の愛称。男性の潜水士を「海猿」と呼ぶけれど、その女性ヴァージョン。『海猿』は同名の漫画と映画で一時期ちょっとした人気だった。

『海蝶』は『海猿』とは方向性が違っていて、完全にミステリ寄りの作品。なかなかに凝った構成ではあるけれど、好き嫌いは分かれるかも知れない。悪くはないと思ったもののも正直、私は微妙だった。

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海蝶

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講談社
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ザックリとこんな内容
  • 主人公の忍海愛は女性初の潜水士として注目を集めていた。
  • 愛の兄は特殊救難隊、父もベテラン海保潜水士で潜水士一家だったが、愛は「女性」であることから実際の現場ではお荷物でしかなかった。
  • 潜水士として働くうちに愛はある厄介な事件に遭遇する。

感想

エンタメ小説としては凝った造りだと思ったけれど、要素を詰め込み過ぎて途中からウンザリしてしまった。

  • ヒロインは女性初の潜水士
  • 震災で母親が津波に飲み込まれて亡くなっている
  • 震災を経て歪になった家族関係の修復
  • ほんのりとした恋心
  • お仕事小説的な潜水士ドラマ
  • 捜査ミステリ

……いくらなんでもツッコミ過ぎだってばよ。

文章自体は読みやすいので爆速で読むことができる。そして物語もガンガンに進んでいくので飽きることはない。ドラマ化、映画化すれば楽しめるかも知れないけれど、じっくり味わうとなると「それって、どうなの?」みたいな気持ちになってしまう。

まず、冒頭部に登場する高校時代の主人公と潜水士として再登場するヒロインの印象が違い過ぎる。「震災を経験し、母親を亡くしたことで人間が変わった」ってことなのは分かるけれど、ベースの性格が違い過ぎて再登場した時は「あなた誰?」みたいな気持ちになってしまった。

そして潜水士としてのターンに突入。最初は「おっ。ここからお仕事小説がはじまるんだな?」と思わせておいてからの唐突な事件。そして事件と並行して明かされる家族の物語。感動的な要素を詰め込みたい気持ちは分かるけれど、詰め込めば良いってものじゃない。

……とは言うものの、私は男女問わず異性ばかりの職場に飛び込んでいく系のお仕事小説が好きなので、雰囲気とかノリは嫌いじゃない。

ヒロインも良い子だったし、ヒロインの周囲にいる人達もなんだかんだ言って善人ばかり。読んでいて気持ちの良い作品ではあった。それだけに色々な要素を詰め込めるだけ詰め込んで、消化し切れていないのが残念でならない。

嫌い…とまでは言わないけれど、なんだか絶妙に残念な作品だった。

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白い木蓮の花の下で
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