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「山奥ニート」やってます。 石井あらた 光文社

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『「山奥ニート」やってます。』は和歌山県の限界集落でニートが集まって暮らせる場所を運営している人が書いたノンフィクション。

ニートと言っても働いているので厳密に言うとニートじゃない気がするけれど、面白い試みだと思ったし「そんな生き方もあるんだな」と感心した。

自分自身がニートだったり、家族にニートがいたりする人が読んだら、私以上に感じるところがあるかも知れない。

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「山奥ニート」やってます。

ザックリとこんな内容
  • 和歌山県のとある山奥で生きるニート達の生活を描いたノンフィクション。
  • 筆者はひきこもりとなって大学を中退し、ネットを通じて知り合ったニート仲間と2014年から和歌山の山奥に移住。駅から車で2時間の限界集落で生活する。
  • 月の生活費は1万8000円。収入源は紀州梅の収穫や草刈りのお駄賃など。
  • なるべく働かず、面倒くさい人間関係から離れて生きていく」を実現したニートが綴る5年間の記録。

感想

私は大阪で暮らしているけれど、大阪と言う土地は和歌山と以外と縁が深い。単純に和歌山は大阪の隣だから…ってこともあるし、大阪は和歌山出身の人が多いから…ってこともある。

『「山奥ニート」やってます。』の舞台は和歌山県の限界集落。住人5人に対してニートは15人。住人は老人ばかりなのでニートの人達でも「居てくれた方がありがたい」というスタンスらしい。「そんな都合の良い話ってある?」って思うかも知れないけれど、私は嘘じゃないと思う。和歌山の田舎って半端ない。

『「山奥ニート」やってます。』に登場する人達の生き方が好きか嫌いか…ってところは人によると思うけど「こんな生き方もありだな」とは思った。日本人が全員、彼らのようなスタンスで生きていたら日本は滅びてしまうけれど、金子みすゞじゃないけれど「みんなちがって、みんないい」の考えからすると「あり」だと思う。

………省エネを突き詰めた生き方って感じ。あまり働かないけど、その分お金を使わない。人との関わりもあまり持たない。「意外とやれちゃうんだな」と感心してしまった。

賛否はあるかと思うのだけど、ニートや引きこもりは大きな社会問題。彼らのような人を叱って罵倒するのは簡単だけど、叱ったり罵倒したりしたところでどうにもならない。「じゃあ、どうするの?」って話。選択肢の1つとして「山奥ニート」はアリだと思った。

ただ1つだけ共感できなかったのは「ニートでも子育て出来るんじゃない?」って発想。

「出来る」「出来ない」って2択で言うなら「出来る」とは思うけど、それって子どもの人格を丸っと無視しているよなぁ…と。「フザケンナよ。子どもはあなたの付属物でもペットでもねぇんだよ」と思ってしまった。

それ以外の部分については「そういう生き方、考え方もありだね」と思ったし「ちょっと羨ましいな」と感じてしまったところもある。

「自分とは違った価値観を持って生きている人がいる」ってことを知るの意味で良い作品だと思うし、知らない世界を知るのは単純に楽しい。読んで良かった1冊だった。

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