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盤上に君はもういない 綾崎隼 角川書店

Twitterでやたら推されていたので手にとってみた。題名からして将棋がテーマだってことはお察しの通り。

将棋がテーマの作品って不思議と名作が多い気がする。『聖の青春』とか『将棋の子』とか。『踊り子と将棋指し』も良かったし、漫画だと『3月のライオン』は外せない。

将棋でプロになるためには、小さい頃から人生を全振りする勢いで取り組む必要があるため、小説のテーマにしやすい…ってところはあると思う。

『盤上に君はもういない』の主人公は女性棋士。女性である私からすると、それだけでワクワクする設定なのだけど、『盤上に君はもういない』は無理だった。

途中まで面白く読み進めたのだけどラストで「フザケンナ!」みたいな気持ちになってしまった。

今回は盛大なネタバレ込でディスっていく感想になるので、ネタバレNGやディスリ系の感想が苦手な方はご遠慮ください。

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盤上に君はもういない

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中央公論新社
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ザックリとこんな内容
  • 将棋のプロを目指す2人の少女を描いた青春小説。
  • 観戦記者の佐竹亜弓は永世飛王を祖父に持つ天才少女・諏訪飛鳥と、病弱ながら年齢制限間際でプロに挑戦する千桜夕妃と出会い、彼女達を追うこととなる。
  • 女流棋士はいても奨励会三段リーグを勝ち上がってプロに到達した女性が1人もいない中、どちらがプロに勝ち上がっていくのか?

感想

『盤上に君はもういない』と言う題名から、将棋ネタであることは分かっていたし、病気云々のネタを絡めて登場人物が死んで泣かせにくることも分かっていた。だけど死にネタは小説あるあるなので、そこは目をつぶろう。

序盤は猛烈に面白かった。将棋に取り憑かれた2人の少女はそれぞれ全く違うタイプ。どちらも応援したくなるような気持ちの良い子達。

2人の少女を追う記者も好人物だし、勝ち気な性格の諏訪飛鳥を好きになる棋士も登場して、ややラノベちっくながらもページをめくる手が止まらない面白さだった。

ところが。病弱な天才少女、千桜夕妃はプロになるも突然失踪してしまう。そして失踪後、2年半経って将棋界に復帰。界隈では「体調を崩して療養していた」と言うことになっていたのだけれど、実はそこに大きな秘密があった…ってところが物語の山場になってくる。

千桜夕妃は院内学級で自分に将棋を教えてくれたフランス人の少年を追ってフランスに渡っていた。ここまでは分かる。だけど、ここから先の展開が酷過ぎた。

ずっと将棋がテーマで進んできたのに、突然アモーレモードに突入するのだ。

千桜夕妃と子どもの頃、千桜夕妃に将棋を教えたフランス人(日本人とフランス人とのハーフ)アンリは恋に落ち、結婚し、千桜夕妃は出産。アンリは千桜夕妃の産んだ子の顔さえ見ないまま死亡。日本人の嫁を快く思わない千桜夕妃は、息子を置いて日本に帰国する…って流れ。

  • ここまで積み上げてきた熱い将棋ドラマは何だったのか?
  • 病弱設定なのに異国で軽々と出産?

もっと突っ込むなら、千桜夕妃は帰国後タイトルホルダーになった後、再びフランスを訪れて息子と再会してハッピーエンドになだれ込む。

……ごめん。ちょっと意味が分からない。

千桜夕妃が捨てた子は親がいないのに(義母が育てていたと思われる)超良い子に育っていて、両親を恨んでいる風もなかった。しかも将棋が強くて「弟子にして欲しい」とか言ってるし。

将棋小説かと思っいてたら、ご都合主義のアモーレ小説だったと知った哀しみったらない。

確かに千桜夕妃と千桜夕妃に将棋を教えたアンリの間には将棋を通しての絆があったし、そこは分からなくもないけれど、病弱設定なのに仕事を放置してフランスに渡って、恋愛して結婚して、出産して、帰国後タイトルホルダーになる…とか、飛ばし過ぎにもほどがある。

……こういうのはラノベでやって欲しい。

読後、本を壁にぶつけたい気持ちを抑えるのに必死だった。巷での評判は良さそうだけど、私には理解不能な作品だった。

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白い木蓮の花の下で
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