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クロス 山下紘加 河出書房新社

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山下紘加の作品を読むのは『ドール』に続いて2冊目。

ドール』はいじめられっ子の男子中学生がダッチワイフに恋をする物語だったけれど、今回は既婚男性が女装にハマる物語だった。どうやら山下紘加は性的なことをテーマにする作家さんらしい。そう言うテーマ…嫌いじゃない。

テーマ自体は嫌いじゃないけど、この作品は好きになれなかった。

好き慣れなかった理由については追々と書くけれど、今回は否定的な感想になるのでファンの方は読まない方が良いかもです。

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クロス

ザックリとこんな内容
  • 主人公は警備会社で働く28 歳の既婚男性。
  • 浮気相手との悪戯をきっかけに、女装にハマっていく。
  • ストッキングを履いたり、メイクをしたりすることに喜びを見出し、女装クラブにも足を運ぶようになる。
  • あるとき私は女の姿で訪れたバーでタケオと名乗る男に出会い……

感想

山下紘加はセクシャリティの問題とか、性のゆらぎについての物語を書きたかったのだと思う。

『クロス』はセクシャリティを考える…と言う意味では良くできた作品だと思うし、女装にハマっていく男性を描いた…って意味ではよく書けていると思う。

私は女性なので女装する男性の気持ちは分からないけれど、パートナーに面白がって女装をすすめられた事がキッカケで女装にハマってしまう人は少なくないと聞いている。

そして最近はTwitterやユーチューブなどでも、パッと見だと男性とは分からないくらい可愛い女装をする男性も多い。私は1つのことを本気で突き詰めていく人には素直に敬意を覚える派なので、女装に対しての嫌悪感はない。

だけど主人公…お前は駄目だ。

  • 既婚だけど不倫してる
  • 不倫してるけど好きな男も出来た

……これって、控えめに言ってクズなのでは?

同性愛とか、ちょっと変わった性癖をテーマにした作品って「主人公をクズにしないと駄目」みたいな謎のテンプレがあるのだろうか?

  • 同性愛者だからメンタル不安定だし仕方がない
  • 変わった性癖で苦しいから不誠実でも仕方がない

……ってことなのかも知れないけど「仕方がない」じゃねぇよ。

マイノリティに属する人達が何かと生き難いのは理解出来るけど、だからって何をやっても良い訳じゃないし、自分以外の人間を傷つけて良い特権がある訳じゃない。

『クロス』が意欲作なのは理解出来るけれど、主人公の生き方にはまったく賛同出来なかった。

山下紘加は『ドール』を読んで、2作目が気になっていた作家さんだけど、この路線が続くなら次はもう良いかな…と思ってしまった。

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