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映画『ミザリー』感想。

『ミザリー』1990年に公開されたアメリカのサスペンス映画。スティーヴン・キングの小説を映画化した作品。主演のキャシー・ベイツは『ミザリー』でアカデミー主演女優賞を受賞している。

私は公開当時に映画館で観たのだけど、夫は観たことが無いと言うので「これは観てもらわなければいけません!(使命感)」と言うことで、今さらながら視聴した。

公開されて30年も経つ作品なのに…話も全部分かっているのに…今さらながら怖かった。

今回は古い映画作品なのでネタバレ込みの感想となります。ネタバレNGの方はご遠慮ください。

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ミザリー

ミザリー
Misery
監督ロブ・ライナー
脚本ウィリアム・ゴールドマン
製作ロブ・ライナー
アンドリュー・シェインマン
出演者ジェームズ・カーン
キャシー・ベイツ
音楽マーク・シャイマン
配給日本の旗 日本ヘラルド映画
公開アメリカ合衆国の旗 1990年11月30日
日本の旗 1991年2月16日

あらすじ

主人公はベストセラー小説『ミザリー』の作者であるポール・シェルダン。ポールはミザリー』のイメージから脱却する為ミザリーシリーズを終わらせて他の小説を書きたいと思っていた。

ポールは冬の山小屋に籠ってシリーズの最終章を書き上げるも運転事故を起こし、看護師のアニーに助けられる。

アニーはミザリーシリーズの熱狂的ファン。ポールの宿泊場所を知っていて、ストーカーまがいに跡をつけていた為、事故時に真っ先に助け、目撃者なしにポールを家に運ぶことが出来た。

アニーはポールに接していたが、次第にその実態があらわになっていく。

アニーは自分の期待していたものと違う『ミザリー』の完結に激しく怒り、原稿を燃やさせ、ポールに新しい『ミザリー』を執筆させる。実はこのアニー。過去に連続殺人犯の疑いをかけられていた。

ポールの失踪に気付いた出版社は地元の保安官にポールの捜索を依頼。保安官のバスターは少しずつポールに関する手掛かりを掴んでいく……

キャシー・ベイツが怖過ぎる

『ミザリー』はサスペンス映画とも言えるし、ある意味ホラー映画とも言える。

とりあえず「キャシー・ベイツが怖い」これに尽きる。

私はこの世の中で1番怖いのは幽霊でもモンスターでもなく人間だと思っている派なのだけど『ミザリー』は正に「人間が怖い」の典型的な作品。

キャシー・ベイツ演じるアニーは「狂った人間」として描かれているのだけど、やることなすこと全部怖い。穏やかに話をしていたと思えば突然切れるし「愛している」「尊敬している」と言う相手に酷いことをする。人を殺すのなんて屁の河童。

キャシー・ベイツは『ミザリー』でアカデミー主演女優賞を受賞しているけれど、クレイジーな表情は天下一品。「そりゃあ、これだけ切れっ切れの演技だったらアカデミー賞も取りますわ」って話。

監禁してでも続きを書かせたい

『ミザリー』の公開当時、一部の人達の中で話題になったのは「私も出来ることなら、あの作家を監禁してでも続きを書かせたい」ってことだった。

  • 『グイン・サーガ』の続きを書かせたい
  • 『ガラスの仮面』の続きを書かせたい
  • 『7つの黄金郷』の続きを書かせたい
  • 『十二国記』の続きを書かせたい

……今の時代ならここに『ハンターハンター』とか『ドリフターズ』が参入してくるのだろうか?

小説や漫画を愛する人達はどこまで行っても受け身でしかなくて、作家が書いてくれなければ快感を得ることが出来ないのだ。

普通の人達は作家が続きを書いてくれなくても「じっと我慢の子」で大人しく待っている訳だけど、アニーは一線を越えて、創造主を自分の思うがままにしようとした。

『ミザリー』の怖さとは「実は私も出来ることなら同じことがしたい」と思ってしまう人間の心の裏側に潜んでいるように思う。

練り込まれた設定と皮肉

「怖い映画」として知られている『ミザリー』ではあるけれど、よくよく観るとけっこう意地悪な伏線が張られている。

主人公ポールを監禁したアニーは看護師だけど『ミザリー』の中では「教養のない女性」として描かれている。例えば……

  • ミザリーに肩入れしているアニーはミザリーが汚い言葉を使うことが耐えられずに切れ散らかす。
  • アニーはミザリーが伯爵の血を引くと言う設定に狂喜する
  • アニーはポールが気に入っているシャンパン「ドン・ペリニヨン」を発音出来ない
  • アニーは豚をペットとして可愛がっていて、自分を投影している「ミザリー」と同じ名前を付けている

ポールは監禁されている中でも作家としての視点でアニーを観察していたようで、事件がすべて終わった後に『高等教育』と言う作品を書いて好評を得ている。

ポールは『高等教育』を書くことが出来たのは「アニーに監禁されていた経験があったからこそ書けた」と言っていたけれど、あの恐ろしい時間の中でポールはアニーと言う女性を観察し、作品に活かしているのだ。

「転んでもただでは起きない」ではないけれど、自分の恐怖体験を作品に活かしている作家もまた、人間の恐ろしさを秘めた存在だと思う。

古くても通用する作品

『ミザリー』はざっくり30年も前の作品なので、いま観ると映像的に古い印象があるけれど、その面白さは色褪せていない。

余談だけど監督のロブ・ライナーは『最高の人生の見つけ方』の監督でもある。

最高の人生の見つけ方』は「人生って素晴らしいよね!」みたいな作品で『ミザリー』とは方向性がまったく違う。ロブ・ライナー…恐ろしい子!

今回『ミザリー』を十数年ぶりに視聴したけれど、語り尽くせないくらい発見があったし、名作だってことを再確認させられた。「何だかんだ言って人間が1番怖いよね」ってタイプの映画がお好きな方には全力でオススメしたい。

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白い木蓮の花の下で
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