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犬身 松浦理英子 朝日新聞社

ものすごく久しぶりに松浦理英子の作品を読んだ。

もっとも、好きな作品はたまに再読しているので「新作を」ってことなのだけど。心穏やかに読むことの出来ない作品だった。

なんと言うか……。とても感想が書き辛い。

松浦理英子を読むと、ものすごくハマっていた時期の自分を思い起こさずにはいられない。そこには、もう2度と振り返りたくないくらいに「痛い自分」がいる。

精神的に悶々と足掻いていて、この人の作品群に心乱されたあの頃を。

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犬身

タウン誌「犬の眼」の編集者、八束房恵は、人を愛したことがなく、自分は半分犬なのでは、と思うほどに犬を愛している。

取材で知り合った陶芸家、玉石梓と再会した房恵は、自分を負傷させてまで飼い犬の安全を守った彼女に惹かれ、交流を深めるうちに「あの人の犬になりたい」と願うようになる。

房恵に興味を持ち、自らを魂のコレクターだというバーのマスター、朱尾献と死後の魂を譲り渡す契約を結んだ房恵は、オスの仔犬、フサとなって梓と暮らしはじめるが、梓の家族関係がいびつに崩壊していることを知る。

梓を苦しめる人間にできるのは、吠えることだけ。そんな自分に無力感を感じながらも、フサは、何も求めない、穏やかな愛を与えることで、犬なりに彼女を守ろうとする。

アマゾンより引用

感想

この作品は主人公が好きな人の「飼い犬になる」というとんでもない設定。

「これぞ松浦理英子」という作品で、好きな人は好きだろうし、嫌いな人は吐き気がするほどおぞましいんじゃないかと思う。嫌な意味で「自分」が試される作品だと思う。

おおむね面白かったのだけど、ラストの持って生き方には不満が残った。

もっと残酷な結末を予想していたので肩すかしを喰らったと言うか。それとも一つの不満はこの作品には「Mの空気」はあっても「Sの空気」は存在しないってこと。

Sっぽい登場人物が出てくるのだけど、結局のところ本質はMなのだ。なんだろうなぁ……M属性の人には「Sの世界」は書けないのかなぁ。

正直、物足りなかった。

10年ほど前、SMがテーマになっている小説を読んで友人と感想を述べ合っている時、私が「ヒロインがSの登場人物から酷い目にあわされるのが分かっているのになお反抗した意図が分からない」と言ったら、友人が「それは貴女がSだからだ。Mと言うのは「おしおき」が怖くて嬉しいから、あえて反抗する生き物なのだ」と言われて、ものすごく吃驚したことがある。こ

の作品もまさにそれで「M側」からの描き方は秀逸なのだけど、1つの世界としてみると不完全な物になってしまっている。

面白くて、クドくて、自分にとっては恥ずかしい過去をほじくり返される作品なので、そうそう再読したくはないが面白い作品ではあった。

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白い木蓮の花の下で
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