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廉太郎ノオト 谷津矢車 中央公論新社

図書館で表紙絵に惹かれて思わず表紙借りしてしまった。作者の谷津矢車(やづやぐるま)は初挑戦の作家さん。

日本人なら誰でも知っている作曲家、滝廉太郎を描いた伝記小説。

私自身は滝廉太郎に対して全く興味がない状態で手に取ったのだけど、予想外の面白さだった。

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廉太郎ノオト

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ザックリとこんな内容
  • 作曲家、滝廉太郎の伝記小説。
  • 廉太郎は幼い頃、琴の上手な姉に大きな影響を受けるが姉は志半ばで肺結核で夭折する。
  • 惣領息子として生きることを期待される廉太郎だったが、厳格な父との対立を経て東京音楽学校入学。
  • 東京音楽学校では孤高の天才少女(幸田幸)、恩師ケーベル等のの影響を受け、廉太郎は才能を開花させていく。
  • ピアノに向き合う廉太郎だったが、いつしか作曲家としての才能を開花させていく。
  • 実力を認められた廉太郎は公費留学生としてドイツ・ライプツィヒへと旅立つが……。

感想

主人公の滝廉太郎については、ほとんど知らない状態で手に取った。音楽の授業で習っていたので、ある程度の知識がある程度。

  • 『春』や『お正月』『はとぽっぽ』『荒城の月』の作曲者
  • 丸メガネをかけた写真
  • 肺結核で早逝している

……と私の知っている滝廉太郎はこんなレベル。

小学校の音楽の時間で習った『春』や『荒城の月』は全く良さが分からなくて「綺麗な曲だけど歌い難いし、なんだか陰気な感じ」としか思えなかった記憶がある。

だけど今回『廉太郎ノオト』を読んだことで、私の中の滝廉太郎像が根っこから変化した。

日本にもこんな偉大な作曲家がいたなんて!

そして志半ばで夭折してしまったことが惜しまれる。小説家とか音楽家とかって、夭折する人(シューベルト・31歳、モーツァルト・35歳、メンデルスゾーン・38歳)が多いが多が多い気がするけれど、滝廉太郎が亡くなったのは23歳。あまりにも早過ぎる。

さて。この『廉太郎ノオト』は表紙絵に惹かれて手に取ったのだけど、主人公の廉太郎は表紙絵に描かれているイメージそのままの人だった。

とにかく真面目で、とことん優しい。

姉の影響で音楽を志すも、自分が心の底から音楽を愛していることに気がついていく過程にグッときた。

そして廉太郎を囲む人達も個性的で素晴らしかった。特に滝廉太郎が幸田露伴やその親族と繋がりがあったとは知らなかった。特にバイオリニストの幸田幸(安藤幸)との関係は最高に面白かった。才能があるけれど高慢ちきな幸田幸が廉太郎をライバルと認める流れは最高。

「強敵と書いて友と呼ぶ」を文章化したらこうなるんだろうなぁ…って感じの熱さを感じた。

子どもの頃、私は滝廉太郎が作曲した『春』や『荒城の月』を「面白くない」と感じた訳だけど、『春』や『荒城の月』が作られた背景を知ると「面白くない」なんて、とても言えない。

日本は西洋音楽が浸透しておらず、そもそも子ども向けに作られた「唱歌」なんてものは無かった時代に、廉太郎はゼロから新しい音楽を生み出しているのだから凄過ぎる。

物語の後半で「新聞屋」と呼ばれる人物が登場する。

新聞屋は三味線の道を諦めて、食べるために新聞記者になった男で廉太郎のことを快く思っていない人物だった。廉太郎と顔を合わせるといつも皮肉ばかり言う彼が、物語のラストで重要な役どころを担うのだけど、そのオチについてはここでは敢えて書かないでおこうと思う。是非、ご自身で読んで戴きたい。

谷津矢車…初挑戦の作家さんだけど『廉太郎ノオト』が私の好みのどストライク過ぎたので、他の作品も是非読んでみたい。

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