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ケッヘル 中山可穂 文藝春秋

中山可穂の新作…って事で期待していたがイマイチだった。

ひと言で片付けるなら出来損ないのミステリー小説だと思う。突拍子のない設定と、音楽の蘊蓄は面白かったけれど、それ以上の物は見出だせなかった。

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ケッヘル

その音楽は神のものか、悪魔のものか——。

カレーの海辺でひとりの熱狂的なモーツァルティアンと出会った伽椰は、情事の果ての長い逃亡生活に終止符を打ち、日本へと舞い戻った。

そこで待っていたのは、ケッヘル番号を会員番号とする会員制旅行代理店の奇妙なツアーであり、依頼人の失踪に始まる恐るべき復讐劇の幕開きだった。

アマゾンより引用

感想

新しい切り口に挑戦してみたのだと思うけれど、登場人物が多数出て来るミステリーにおいて、人物描写が出来ていない…と言う、最高の失敗を犯しているのはどうにも戴けない。

おかげで桐野夏生、宮部みゆき、高村薫…と言ったミステリーの売れっ子作家さんが描く「人間の書分け」や「人物の掘り下げ」は素晴らしいのだなぁ…って事に気付かされてしまった。

ミステリーにはミステリーの流儀のようなものがあるんじゃないかなぁ。

「ミステリー小説」は苦手ながらも、面白いと思って読む事があるが、これが「ミステリー風小説」となると、いただけないのだ。

中山可穂の描く登場人物は作者自身が興味を持っているだろうエキセントリックな人(特に女性)以外は、人間の作りが薄っぺらで、登場人物達に思い入れる事がが出来ない。

残念ながら、現時点では作家としての器が狭いのだと思われる。

しかし、この作品を読んで私は中山可穂の書く物の何に惹かれているのかをハッキリ知った。

今までは、ドラマティックな恋物語が気に入っているのだとばかり思っていたが、そうでは無かったらしい。

この作品もドラマティックさ加減においては相当の物だが、興醒めしてしまったのだから。

私は彼女の描く女がジタバタと足掻いている姿が好きみたいだ。正直、嫌なヤツの方が多いが、それでも一途に真面目に進んでいく過程に思い入れてしまうのだ。

今回の作品ではストーリーありきで、その辺がおざなりだったので、ハマれなかったのだと思う。

サグラダ・ファミリア』のような、エキセントリック過ぎず、技巧に走り過ぎない小説が読みたいのだけどなぁ……なんて思ったりする。とりあえずは次回作に期待したい。

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白い木蓮の花の下で
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