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Im’ sorry,mama. 桐野夏生 集英社文庫

久しぶりにノワール小説を読んだ。今さらだけど、敢えて言いたい。「やっぱり桐野夏生は面白い」と。

主人公は、とんでもない悪人(悪女)。「憎めない悪人」ではなく「どうしようもない悪人」で、ここまで悪い人が出てくる小説を読むのは何年ぶりかの事だったので、ドキドキするほど新鮮だった。このドキドキ感は『悪童日記』を読んで以来のことかも。

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Im’ sorry,mama.

児童福祉施設の保育士だった美佐江が、自宅アパートで25歳年下の夫と焼死した。その背景に、女の姿が浮かび上がる。

盗み、殺し、火をつける「アイ子」。

彼女の目的は何なのか。繰り返される悪行の数々。次第に明らかにされる過去。救いようのない怒りと憎しみとにあふれた女は、どこからやって来たのか。

アマゾンより引用

娼婦に生み捨てられて娼館と児童福祉施設で育った「アイ子」という女が主人公なのだけど、このアイ子の悪人ぶりの素晴らしい事と言ったら無かった。

悪いことを「悪い」と認識しておらず、次々と犯罪を繰り返していくのだ。盗み・殺し・放火……それら全てをコンビニでおにぎりを買うようなノリで、やってのけていく。

今まで読んできた小説・伝記を振り返ってみると、アイ子は、若い娘を次々と血祭りに上げたエリザベート・バートリー級だと思う。

エリザベート・バートリーは犯罪に対する目的が明確だったが、アイ子の場合はそうでない…ってところが違うのだけれど。

読んでいて「恐い」とも思ったし「気分が悪い」とも思ったのだけど、止められない面白さだった。

人間の中には本質的に「悪を好む」という嗜好があるのだろう。

現実世界での犯罪は許せないし、それを面白がってはいけないが、小説の中でならそれが許される。だからこそ、こういうタイプの小説が生まれてくるのだろう。

この作品の素晴らしいところは「悪人だけど、ちょっと憎み切れないよね」というタイプの悪人ではなく「生い立ちは不幸だったかも知れないが、コイツは絶対許せない」と言う極悪人をクールに書ききったところだと思う。

読み手を選ぶタイプの作品だと思うし、誰にでもオススメは出来ないけれど個人的には、かなり面白かったしお気に入りの1冊。

ドキドキする時間を過ごせて、実に満足した1冊だった。

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白い木蓮の花の下で
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