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銀色の翼 佐川光晴 文藝春秋

良かった。実に良かった。前回読んだ本の感想に「もしかしたらドカンと化けてくれるかも知れない」なんて事を書いているが、化けたね。確実に。

こんなに素敵に化けてくれるとは思わなかった。ぼちぼちと追いかけている作家さんが、こんな化け方をしてくれた時の嬉しさと言ったら無い。

初期の頃の作品を思えば段違いに上手くなっている。

佐川光晴の持つ独特の持ち味が一層引き立ち、そして不愉快だった部分は良い感じに昇華されていた。

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銀色の翼

「痛み」と共に生きる人びと…。主人公が選んだのは、ある女性を全面的に受け入れる「肯定の愛」だった。

頭痛に苦しみながら生きている男が、長い時間をかけて、かたくなに過去を隠す妻との愛にたどりつくまで…。リアリズムを徹底的に突きつめた、真実の小説。

アマゾンより引用

感想

表題作を含む2つの作品で構成されていて、表題作の『銀色の翼』は、脳腫瘍の後遺症で酷い頭痛持ちになった男が主人公の物語。

トンカツ屋の長男で、京大に進学するほど優秀だった男が挫折を経験し、伴侶を得ることで再生するのだが、今度は伴侶が心身共に駄目になっていく……という筋書き。

粗筋だけ書くと憂鬱になりそうだけど、不思議と不快感は感じなかった。佐川光晴は初期の頃から「夫婦」を描くことに執着しているようだが、この作品は中でも秀逸だと思う。

好いたの惚れたの…というような結びつきではなく、かといって向田邦子なんかがお得意とした「家族」としての夫婦像ではない感じが好ましい。

淡々とした筆の運びが染み入るようで、丁寧に読ませてもらった。ちなみに題名の『銀色の翼』とは、片頭痛に悩まされた芥川龍之介の文章より貰ったとのこと。

もう1作の『青いけむり』は、表題作ほどでは無かったけれど面白かった。

こちらも夫婦がテーマだが、少し寒々しい感じ。だが、いままでの作品に流れていた「やるせなさ」は影を潜めていて、寒々しいながらも再生を匂わせる良い話だった。

佐川光晴の作品は芥川賞の候補に何度も上がっているのに、なぜか受賞は出来ないでいるようだ。個人的には猛プッシュしたいのだけどなぁ。

この作品かが芥川賞に値するかと問われたら即答することはできないけれど、少なくともその年の芥川賞受賞作よりはよほど文学性を感じるのだが。

やはり流行とか、そういうところも左右するのだろうか。なんにせよ、個人的には、かなり満足のいく1冊だった。

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白い木蓮の花の下で
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