なんだかなぁ。ものすごく面白くなかった。
ここまで退屈な本を読んだのは久しぶり。『ピカルディーの三度』を読んで「これから猛プッシュしていこう」と期待していた矢先のことだったので、ガッカリ感は半端無い。
女の庭
息苦しいなんて、きっと気のせい。だって私は、普通の主婦なのだから。
――子供を持たず、マンションに住む主婦。居心地の悪さを感じながらも井戸端会議に参加する日々。隣に外国人が引っ越してきて……。
ありふれた女に不意に訪れた、静かな奇蹟とは?芥川賞作家の原点を示す、圧倒的傑作。
アマゾンより引用
感想
表題作と他1作。マンションで暮らす「子どものいない専業主婦」の話。
現実と妄想が行ったりきたりするのだけど、ちっとも面白くなかった。
作者の鹿島田真希いったい、どういう経緯の持ち主なのだろう。
私はいま子育て中ではあるけれど「主婦」という立場にいる人間だ。しかし、登場人物にはこれっぽっちも共感出来る部分が無かった。
主人公の女性はテレビや小説に出てくるような「いかにも」な感じの主婦ではあるのだけれど、リアリティが全く感じられなかったのだ。
「いかにも」な人物描写って、小説にすると陳腐だ。「いかにも」が悪いとは言わないけれど、そこにもうひとつ工夫が必要。
ものすごく面白く無かったのだけど作者が目指そうとしている路線は理解できなくもない。
どことなく松浦理英子の路線と似ている感じ。
でも今のところ「似ている」だけで、似て非なる物。そして、もうひとつ言うなら「誰かと似ている」うちは駄目なのだと思う。
独特の世界が無いと、作品としては成り立たないし面白くない。
まぁ……でも、切り捨てる気にはなれない作家さんではある。何か秘めていそうな気がするのだ。と言うか「何か秘めている人であってくれ」と言う私の願望なのかも知れないけれど。
『嫁入り前』は支離滅裂な作品だった。
こちらは笙野頼子テイスト。『ピカルディーの三度』の時にも思ったのだけど、鹿島田真希は「糞」に何か特別な思い入れがあるのだろうか?
だったら、いっそ思い切って「糞」を前に持ってきたら良いのに。中途半端に描いているので、汚らしい印象しか残らない。
ものすごく残念な感じの作品1冊だったのだけど、鹿島田真希とは期待を込めてもう少し付き合ってみようと思う。