かこさとしが描いている「だるまちゃんシリーズ」は子供の頃から大好きだったが今でも新作が出ているとは知らなかった。
私が子供の頃に見たかこさとしの写真は「おじさん」という年齢のようだったが、現在は70歳を超えられているはずである。
かこさとしが現役で創作活動をされていることを知って、やけに嬉しい。
だるまちゃんとだいこくちゃん
だいこくちゃんの「うちでのこづち」は、米粒を入れて振ると、おもちや団子やおにぎりが、麦の粒を入れて振ると、クッキーやビスケットやケーキが出てきます。
うらやましくなっただるまちゃんは、かんかんぎこぎこと「うちでのこづつ」を作って、振ってみました。すると入れたものがどんどん増えました。
そこで「うちでのこづち」と「うちでのこづつ」をつないで一緒に振ると……。
アマゾンより引用
感想
「だるまちゃんシリーズ」は主人公のだるまちゃんが友達の持っている物を羨ましく思うところから物語がはじまる。
そして自分で工夫したり、ちょっとラッキーなことがあったりしてハッピーエンドで締めくくられる……という単純なものなのだが「人の持っている物を欲しがる」というあたりに幼い私は親近感を感じていた。
しかし、どの本もハッピーエンドなだけに親近感よりも、むしろ羨ましく思ったものである。
それにしても、だるまちゃんの新しい友達が「だいこくちゃん」とは驚いた。なんと古風なお友達だろう。
今の子供達は大黒なんて知ってるのだろうか?なんて疑問を持ったりもしたが、思えば天狗だって雷だって古風と言えば古風である。
もっと突っ込むなら主人公が達磨というのも、なんだか変。クマでも、ウサギでも、犬でもなく、達磨というあたりが、なんとも……しかし思い起こしてみれば子供の頃は、なんの疑問も抱かずに「だるまちゃん」だの「てんぐちゃん」だのの世界に没頭していた。
結局のところ面白ければ、なんだってOKということなのだろう。
子供の頃は、達磨や天狗や雷といった人間以外のものが今よりもっと近くにあった。思えば「自分と違う存在」を受け入れる柔軟性が今よりあったのかも知れない。
大人になって1人で色々なことを出来るようになった分だけ不自由になった部分があるのかも知れないなぁ……と思った。
懐かしくて、だけど新しい作品と出逢えて、本当に良かった。
楽しくて思わず口元がほころんでしまうような1冊だった。