第二次世界大戦中に少女期を迎えたヒロインの成長物語。
正直、それほど面白いとは思わなかった。「少女時代って、こんな感じよね。うん」くらいのもので。
『赤毛のアン』だの『若草物語』だのを読んで大きくなった人間なので、少女の成長物語は好きなのだけど、一般的な少女小説につきものの華やかさが無かったのが、ハマれなかった要因かも。
もっとも、時代が時代なだけに、そんなものを求めようとするのが間違っている訳だが。
少女の領分
疎開していらいの不思議な解放感がケイの体いっぱいにあふれてきた。ケイ自身、一陣の風になったような透きとおった快感-。
西伊豆の海辺の疎開生活で次々に起こる出来事。少女の眼で捉えた時代の光と影を描く、母と娘の物語。
アマゾンより引用
感想
イマイチ面白く無かったと書いたが、感心した1冊ではあった。
どんな状況にあっても、人は成長していくのだ……ってあたりが。どんな状況にあっても、心豊かに生きる人はそうするだろうし、世を拗ねて生きる人そうするだろうし。
自分の周りにある事柄を吸収して、成長するのは本人の心掛け次第ということなのだろう。
ジャンル(本屋さんや図書館で、どの棚にあるかという意味で)としては大人向けの読み物なのだと思うけれど、中高生が読んだ方が面白いんじゃないかなぁ。
現在、33歳の私は読んでもピンとこなかったが、感性がギンギンになっている思春期時分に読んだらば、感想も違っているんじゃないかと思った。
伸び盛りの若い人の物語を、ちょっぴり懐かしい思いで、目を細めて「私も年をとったんだなぁ」と思った。
まずまず良書の部類だと思う1冊である。
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