コンスタントにヒットを飛ばし続けている垣谷美雨、初のエッセイ本。垣谷美雨はデビュー当初の作品にハマり読みなくっていた時期があったものの、なんだかんだ言ってかなりの冊数を呼んでいる作家さんなので「エッセイも読んでおくべきだろう」と手に取った。
しかし…「こんな本、読まなきゃ良かった」と大後悔。
作家本人の人間性と作品は別物だってことは理解しているつもりだけれど、そりでも「無理だぁぁぁ」となってしまうことがある。いっそ西村賢太くらいにぶっ飛んでいたら「こんな人だから、あの名作を書けたのだ」と納得できるのだけど。
行きつ戻りつ死ぬまで思案中
- 垣谷美雨初のエッセイ
- 日常の出来事や人間関係、老後の不安、仕事、家族、子育て、女性の生き方など、70篇を収録
- 自らの人生について、小説の裏話、ルッキズムについて思うこと、コロナ禍でのこと…などなど
感想
本を読むって行為は「この本を読むぞ」と手に取った瞬間、自分でその本を選択しているので感動的な本に出会ったとしても、読後壁にぶつけたくなるような「壁本」に出会ったとしても自己責任だと思っている。
今回。私は完全に失敗した。お気に入りの作品を今でも好きだ…って気持ちをそっと大事にしまっておけば良かった。わざわざ垣谷美雨の人となりなんて知らなければよかったと大後悔。
小川糸のエッセイを読んだ時と同じくらい「無理~。私、この人は無理~」と本を壁に投げつけたい衝動に駆られてしまった。
垣谷美雨がフェミニストだ…ってことは理解した。だけど「女子刑務所は必要ない」「薬物で収監されている女達は男性の犠牲になった」「万引き等の軽犯罪で捕まるのは生活苦が原因。販売店は可哀想だけど仕方ない」「刑務所を出たあとに住まいも用意せずに社会に放り出すのは可哀想」とか言ってるあたりでズコーッっとなった。
女子刑務所…いるでしょ。法律無視の考え方は私には受け入れ難い。犯罪は犯罪。女なら何やってもOKって話ではない。
さらに言うなら刑務所を出た時に元受刑者を裸一貫で放り出すことはしない。昨年は保護司の男性が元受刑者に逆恨みされて殺害された…と言う事件があったけれど、垣谷美雨はそういう制度があるのをご存知なかったのかな? 色々と謎過ぎる。
女子刑務所の一節以外にもツッコミどころが多過ぎてドン引きしてしまった。
垣谷美雨がエンターテナーとして素晴らしい作家なのは理解しているし、彼女の作品は私を含め多くの人を楽しませてくれた事も理解している。だけど無理だ…垣谷美雨とは考え方の方向性が合わなさ過ぎる。
『行きつ戻りつ死ぬまで思案中』を読み終えて私は垣谷美雨作品から卒業することを決意した。だけど、彼女の作品でたくさん楽しんできた恩は忘れずにいようと思う。