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映画『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』感想

4.5
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「明けても暮れてもウマ娘のことばかり考えている」と言うほどにウマ娘のゲームにハマった時期があった私だけど「ウマ娘は課金しないと限界がくる」と悟ると同時にウマ娘を引退。アニメではずっと追い続けていたものの、自分の中ではウマ娘ブームが終わったものだと思っていた。

実際、ゲーム『ウマ娘 プリティダービー』のプレイヤー数は右肩下がり。どんなゲームにもいつかはブームが去っていくものだ。そんな中「今さら映画化するの?」としか思えないタイミングでのウマ娘映画。「気が向いたら観てみるかな~」くらいの気持ちでいたものの、観に行った人達の評価がやたら高いので「これは観なければなりません」って気持ちになったので劇場へ足を運んだ。

今回はネタバレ込みの感想です。

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ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉

ウマ娘 プリティーダービー
新時代の扉
監督 山本健
脚本 吉村清子
原作 Cygames
出演者 藤本侑里 上坂すみれ 小倉唯 福嶋晴菜
徳井青空 松井恵理子 中村カンナ 和多田美咲
緒方賢一 伊駒ゆりえ 櫻井みゆき
仁見紗綾 本泉莉奈 山本昌広
音楽 横山克
主題歌 「Ready!! Steady!! Derby!!」
公開 日本  2024年5月24日
上映時間 108分

あらすじ

トゥインクル・シリーズのレースを観るため中山レース場を訪れたジャングルポケット(以下ポッケ)は、そこで目撃したフジキセキの走りに心を奪われ、自らも『最強』になることを目指してレースへの参加を志す。

日本中央トレセン学園に入学したポッケはフジキセキを担当した老トレーナー・タナベの指導によって瞬く間にその才能を開花。夏のデビュー戦から無敗のまま、12月のジュニア級G1・ホープフルステークスに出走したポッケは初めて競ったアグネスタキオンに敗北する。

落ち込むポッケだが、その翌日に行われた有馬記念で優勝し、シニア級G1完全制覇の偉業を達成した「覇王」テイエムオペラオーの雄姿に闘志を掻き立てられる。

年が明けクラシック級に進んだポッケは級友のダンツフレームを引き連れて、タキオンのもとに押しかける。タキオンは一方的なポッケの宣戦布告に応じるが、ウマ娘の身体能力の源や走り続けた先に拓けるはずの『真理』を研究したいタキオンにとって、レースの結果自体はどうでもよいものだった。

それぞれの前哨戦を快勝したポッケとタキオンはダンツも交えてクラシックG1・皐月賞で再び競い合うが結果はタキオンの完勝だった。

しかしその直後タキオンは左脚の故障を理由にレース参加の無期限休止(事実上の引退)を発表する。自らの左脚の限界を察したタキオンは、狂気の走りを同期達に見せつけ、それを成長の糧として『真理』へ到達するウマ娘を観察しようと考えていたのだ。

ダンツとカフェがそれぞれの信念に則って走り続ける一方で気持ちの整理がつかずに荒れるポッケ。タナベは、かつてクラシック三冠制覇を確実視されながらも故障で引退を余儀なくされたフジキセキとその想いを継がずに一時期トレーナーを辞していた自分を引き合いに出し、ポッケに新たな夢を託していることを伝える。

タナベとフジキセキの想いを汲んだポッケは、続くクラシックG1・日本ダービーにおいてダンツとの壮絶な競り合いを制し、世代最強の証・ダービーウマ娘の称号を手にした。観客席から観戦していたタキオンはポッケが期待以上の走りを見せたことを無邪気に喜んだものの、ポッケが「自分の代わりに」ウマ娘の『真理』に到達することに気付き、複雑な表情を浮かべる。それを知る由もないポッケは、勝利の興奮と、二度と競えないタキオンへの複雑な感情に身を任せ、ただひたすら叫び続ける。

ポッケの心中には、常に自分の先を走り続けるタキオンの幻影と、「自分は『最強』なんかじゃない」とささやき続けるもう一人の自分の幻影が巣食っており、自らを追い詰めていた。

それを察したフジキセキは早期引退を余儀なくされたことで「全盛期のまま走り続ける自分自身の幻影」に悩んだ過去を持つ自分とポッケを重ね合わせ、ポッケに初心を取り戻させるべく、一対一のマッチレースに誘う。

己の迷いを克服してレースに復帰しようとするフジキセキの姿から「決して追い付けない幻影を前にして、それでも走り続けた者だけが『最強』の資格を掴める」ことを見出したポッケは、現役最強のテイエムオペラオーに挑むべく、東京レース場で行われる国際G1・ジャパンカップへの出走を決める。

プリティ要素控えめ

ウマ娘界隈での評判は「プリティ要素控えめ」との言葉が飛び交っていたけれど、本当にプリティ要素は控えめ。ひと言で言うとただのスポ根アニメだった。

ただの…と言うには語弊がある。古き良きスポ根アニメ…とか本物のスポ根アニメ…と言っても良いと思う。だからこそヲタクではない人達でも楽しむことが出来たのだろうと思う。ウマ娘や競馬が好きじゃなくても楽しめる作品だと思う。

ヲタクに向けたアニメってデフォルメのキツイキャラクターが多くて…例えば高校生なのに幼児のような喋り方をするキャラがいたりだとか、人間とは思えないほど胸の大きな女の子(しかも露出度高め)がいたりする作品がある。これって一部ヲタクには受け入れられても、普通に気持ち悪かったりする。その点『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』は極端なデフォルメは抑えられていて良かったと思う。

圧倒的な臨場感!

感心したのは動くアニメーションの素晴らしさ。ウマ娘は基本、競馬なのでレース場面が多いのだけど、物凄い迫力あるアニメーションで圧倒された。

テレビで観ても面白いと思うのだけど、大画面の映画館で観ることをオススメしたい。

私は「轟音上映」で観たのだけれど、轟音の振動と走ってくるウマ娘達の映像とが見事に合わさっていた最高だった。4DX上映は観ていないのだけどさらに良いのではないかと思う。

親友は4DX上映で観た親友は「いかにも…みたいなヲタクっぽい男性ばかりでスメルが凄かった」とげんなりしていた。私が観た回はたまたま女性が多めだったこともあって快適に観ることができたのだけど。巷の噂は本当だったのか…と驚愕した。

ジャングルポケットの描写

さて。『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』の主人公はジャングルポケット。一人称は「オレ」で、ボーイッシュ寄りのキャラクター。萌え産業を意識するヲタク業界でボーイッシュな主人公は珍しい。

観る前は「一人称が俺…ってことは、見た目はウマ娘でもメンタル的には野球少年みたいな感じなのかな?」と思っていたのだけれど、私の予想に反してジャングルポケットはリアルな女子高生のメンタルを持ったキャラクターだった。アニメキャラクターなので多少のデフォルメはあるものの、死ぬほど負けず嫌いで自意識過剰で、そのくせメンタルが豆腐…。

『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』を観終わった後、夫と顔を見合わせて「なんか…ポッケちゃん思ってたより面倒臭かったよね…あれ、ほとんどうちの娘では?」と感想を述べあった。

迫力のある映像美と共に複雑な乙女心の描写が素晴らしいと思った。ジャングルポケットはヲタク男性ウケするキャラクターではないけれど、女子高生あたりなら共感性が高いのではなかろうか(私は立ち位置的に母親目線で観てしまったけれど)

夢のアグネスタキオン

ジャングルポケットと対象的だったのがアグネスタキオン。こちらは「いかにも」な感じの描写になっている。

イカレたマッドサイエンティストで周囲の人間(ウマ娘)をモルモット扱いするようなアグネスタキオンは『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』の中では圧倒的な強さを誇る。

実在したアグネスタキオンは生涯成績 4戦4勝。獲得賞金 2億2208万2000円と言う恐ろしい戦績を残している無敗の名馬。めちゃくちゃ強くて当時はアグネスタキオンに脳を焼かれた人間が多かったらしい。ただアグネスタキオンは4戦4勝の後、足の不調で突然引退している。

ジャパンカップの後、観客席にいたアグネスタキオンが唐突に走り出したり、ラスト場面のライブで引退したはずのアグネスタキオンは歌い踊る場面は完全に創作。アグネスタキオンが好きだった人達の「こうだったら良いのにな」的な夢が詰め込まれていたのかな…と思ったりした。

私自身は競馬のことはよく分からないのだけど『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』は「スマホゲームから派生したアニメ映画」ってだけではなくて、競馬好きな人の熱量のようなものが込められていて妙に熱くて、そこが良かった。

年齢・性別を問わず楽しめるアニメ映画

『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』は年齢や性別を問わず楽しむことのできるアニメ映画なので「気が向いたら是非、観て」とオススメすることができる。

レースだったり、ウマ娘達の心情だったり、アスリートとしての生き方だったり…感じ入る部分は色々だと思うけれど、どこかしらグッと来るところがあると思うのだ。

日本のアニメーションと言うと宮崎アニメのように「ものすごい映像美」みたいなところがクローズアップされがちだけど、総合的なエンタメ作品として『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』はよく出来た作品だと思った。

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