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寿命が尽きる2年前 久坂部羊 幻冬舎新書

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少し前に読んだ『人はどう死ぬのか』に感銘を受けたので、同じようなテーマのエッセイを続けて読んでみた。

内容的には『人はどう死ぬのか』と重複しているところが多いで、どちらか1冊だけ読めば十分かな…と言う印象。ただ『寿命が尽きる2年前』を先に読むと感想が変わっていただろうとは思う。

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寿命が尽きる2年前

ザックリとこんな内容
  • 「2年後に死ぬとわかったら何を想うのか?」をベースとしたエッセイ。
  • 「死を受け入れるのはむずかしい」と人は言うが「その達人はいるのか?」「楽な方法はあるのか「悔いなき人生をまっとうするには?」など老いと死を突き詰めていく。

感想

『寿命が尽きる2年前』は以前読んだ『人はどう死ぬのか』と内容が重なりまくっているので、今回はものすごく雑な感想になってしまうけれど、ご愛嬌…ってことで。

久坂部羊の言いたかっただろう事を雑にピックアップするとこんな感じ。

  • ジタバタしてもしなくても人は死ぬ。
  • 高齢で長生きするのって、良い事じゃないよ。
  • 行き過ぎた医療は受けない方が楽。
  • 高齢者はどうせ死ぬんだから楽しく過ごそう。

……だけど、これって『人はどう死ぬのか』に書かれていた事とほとんど同じなのだ。

どちらが先に出版されたのはか知らないけれど似たような内容の本を2冊出すのは大人の都合なんだろうか?

作者が言いたいとは理解できるし、面白い文章ではあるものの自腹を切って買っていたらガッカリしたと思う。とは言うものの、ほんの少しだけ私の知らない情報が含まれていたので、それはそれで良かったかな…と思わなくもない。

私が感心したのは「口から栄養が摂取できなくなると、胃ろうをすると楽になる…と思われがちだけど、栄養を受け入れることが出来ない身体に栄養を送り込むことは本人にとって決して楽ではない」みたいな話。

私は現在、医療型児童発達支援センターで保育士をしているのだけど保育しているお子さんの中には医療的ケアが必要な方が多くて、胃ろうの方も複数いる。医療的ケア児と言うと「医療的ケアが無ければ健常者と変わらない」みたいなイメージを持っている人も多いと思うのだけど、実際に関わってみるとイメージとは全然違うことを思い知らされる。

医療的ケアを受けているお子さんって、とにかく機嫌の悪い時間が長い。泣いている時間やグズグズ言ってる時間が他のお子さんに較べると圧倒的に長いのだけど『寿命が尽きる2年前』を読んでハッとした。胃ろうだの、酸素だのを付けて生活しているお子さん達って、周囲が思っている以上に毎日「しんどい」思いをして生きているのだなぁ…と。

身体に食べる能力、呼吸する能力がないのに、どんどん栄養や酸素を送り込まれるのだから生きているだけで辛くて当たり前。この気付きは私が仕事をしていく上に役において役立つ知識だし「私の目の前にいるお子さんは私が想像している以上に大変な状況で頑張っているんだ」って事を常に心に留めておこうと思った。

久坂部羊のエッセイを続けて2冊読んでみて「久坂部羊の高齢者医療に対する考え方は1冊読めば理解できるんじゃないかな」ってこと。人間が生きていく上で大事なテーマではあるものの、久坂部羊のエッセイは今回が最後で良いかな…と思った。

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