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不二家のケーキの思い出。

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洋菓子店の不二家が大量閉店をするほど経営に行き詰っているらしい。

私が子どもの頃、洋菓子店って今ほどあちこちになかったし、そもそも「こだわりのの職人が作る洋菓子店」みたいな店もめずらしかったので、チェーン系の洋菓子店がどこの駅前にもあった気がする。

  • タカラブネ
  • 不二家
  • パルナス(たぶん関西限定?)

ケーキだの洋菓子だのを食べ慣れていない昭和の子どもはチェーン系の洋菓子店のケーキでも充分喜んだし、私など地元に個人のケーキ店が出来るまでは「不二家=ケーキ屋さん」だと思っていた。

……ところが。時代が変わり、世の中には美味しい洋菓子店があちこちに出来たことにより、チェーン系の洋菓子店は次々と姿を消していった。関西人が親しんだパルナスに至ってはすでに解散して跡形もなく、タカラブネも民事再生を申請して現在は不二家の子会社になっている。

中年以上の関西人なら知っているCM

平成に入ってからと言うもの「もうチェーン系のケーキ屋さんは無くなっちゃったんだな」くらいに認識していたのだけど、以外とそうでもなかったみたい。

しかし夫と結婚して数年後、不二家のケーキを食べる機会があった。

夫の祖母の100歳のお祝い会の時に、不二家のケーキが登場したのだ。

夫の母方の親戚は和歌山県で農業を営んでいる。

夫の祖母は100歳まで畑に出ていて105歳で他界した。100歳祝の時は、それこそリアル『サマーウォーズ』のノリ。昔の農家の1階の襖を全部取っ払って、見こたことも聞いたこともない親族一同が集結した。

その時に不二家のケーキが登場したのだけど「大きくて丸いケーキが1個」なんて生ぬるいものではなくて、大きなホールのケーキがいくつも運び込まれた。定番の生クリームだけでなく、チョコレートクリームとか、チーズケーキ的なものもあったかも知れない。

とにかく私の人生で一度にホールケーキを何台も見たのは初めてのことだった。

不二家は当時、夫の祖母の家から行ける1番近いケーキ屋さんだったのだと思う。幹線道路沿いにあって、集落の人達がケーキを食べる…となると不二家しか選択肢がなかったのだ。

その時に食べた不二家のケーキの味は予想以上に美味しくて「あれ? 私、チェーン店のケーキを馬鹿にしてたけどそんなことないのね」とビックリした記憶がある。

お祝いブーストで余計に美味しく感じた…ってのもあるとは思うのだけど「チェーン店のケーキは個人店のケーキに劣る」とは一概に言えない気がする。

……ただ、夫の祖母の家の周辺にも小洒落たカフェを併設した洋菓子店が出来たようなので、不二家の経営状態はよく分からない。少なくとも「街で唯一のケーキ屋さん」みたいな感じではないみたい。

チェーン店の洋菓子店が姿を消してしまうのは当然のことだと思うものの、無くなってしまうとなると少し寂しい。不二家にしてもタカラブネにしても昭和の子ども達に美味しい夢を届けてくれたことに感謝している。

不二家が今後、どうなってしまうのかは分からないけれど、なんだか寂しい気持ちになってしまった。昭和が遠くなっていく。

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