アルビノ(albino)はメラニンの生合成に係わる遺伝情報の欠損により 先天的にメラニンが欠乏する遺伝子疾患がある人(あるいは動物)のこと。
昔は「白子症」などと言ったららしい。この作品はアルビノの人達をテーマにしたノンフィクション。この読書録は基本的に小説が多いので、書こうかどうしようか迷ったけれど書いておくことにする。
アルビノを生きる
白い髪に白い肌。弱視で紫外線に弱い「アルビノ」。
学校、地域社会、そして親族からも差別を受け続けてきた人々が、社会を変えるために自ら歩み始めるとき。元・朝日新聞論説委員が長期取材で寄り添い続けた“葛藤の道のり”
アマゾンより引用
感想
私がアルビノに興味を持ったのは三浦哲郎『白夜を旅する人々』がキッカケ。
『白夜を旅する人々』は高校生の時に読んだ作品で、今でも何代目かの本が手元にある。手擦れがするほど読み込んだ思い入れの深い作品。その作品の中にアルビノの姉妹が登場するのだ。
まぁ、そんなそんな経緯はさておき。ルポルタージュとして良く出来た作品だと思う。
小説ではないので、主観を入れずに寄り添うように書かれているのがとても良い。もっとも「主観を入れず」と言っても、作者の人となりは滲み出てくるもので、ものすごく真面目な印象を受けた。
すごく苦労して生きている人のルポルタージュを読んで「面白かった」と言うのはどうかと思ったりするけれど、面白い作品だった。
何人かの人が登場するのだけど「素敵だなぁ。応援したいな」と思える人もいれば「この人苦手だわ。友達になりたくないタイプだ」と思う人もいて、赤裸々な感じがとても良かった。
私自身、子どもの頃に薬の副作用で容姿に対してコンプレックスを持っていた時期があるので「人と違う容姿」の生きづらさは少しだけ理解出来る。
作品の後半はアルビノだけでなく、病気等で容姿にコンプレックスを持つ人達が沢山出てきて、色々考えさせられた。
「差別は良くないと思います」と学級会的な事を口にするのは簡単だけど、なかなか一筋縄ではいかない問題だ。
ともかく「世の中には色々な人がいるんですよ」と言うことを広く認知してもらう事は大切だと思う。良い作品だと思ったし、作者の書く他のルポルタージュも読んでみたいと思った。