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アレグリア デビット・ゾペティ 集英社

日本在住の外国人作家さんの書いた小説。彼の作品を読むのは2作目である。はじめて読んだのは処女作の『いちげんさん』だった。

京都を舞台にした恋愛小説で、巷の評判は良かったけれど、私の中ではイマイチだった。「しょせん日本かぶれの外国人の書いた作品だよねぇ」という印象だったのだ。

しかし今回は面白く読むことができた。「日本に住む外国人でなければ書けない小説だよね」と。

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アレグリア

「踊りは私の中の何かを激しく揺さぶり、私が抱えている名状しがたい飢えを満たしてくれる」14歳でカナダへ単身バレエ留学、プロのダンサーとして活動を始めた陽子が、かつての家庭教師で東京に住むアメリカ人の僕に語る8年間の留学生活。

故郷離脱者として暮らすことがもたらす心身の揺らぎ。異文化の中で知る自分の立つべき位置。そして変貌への渇き…。国境を越える語り手と聞き手の物語。

アマゾンより引用

感想

主人公はカナダに住むバレリーナの女性。その女性語りを聞くのは日本に住むアメリカ人の画家という設定だった。

主人公の陽子がバレエと向き合う中でフラメンコに出会うまでの過程が描かれていた。

メインの物語はバレエ中心なのだが、ベースになっているのは「故郷を見失った異邦人」というところだろう。

自分が帰ってゆく場所……あるいは、自分が本当に居るべき場所を見失ってしまった主人公の心の旅を見せてもらった。

祖国を離れて暮らしている人間だけでなく「生まれてから、ずっと同じ場所で生きてきた」という人間にだって、ああいった感覚はあるんじゃないかと思った。

自分の居る場所、あるいは、自分が目指しているものがイマイチしっくりと馴染めない……という、地に足がついていないような、そんな感覚は特定の人間が感じると言うよりも、むしろ誰もが持っているように思ったりもする。

陽子の親友は「どこから来ているのかが分からないと、前に進むのも難しいかもしれない」と語っていたが、なんとなく分かるような気がした。

なににつけても「確信を持って生きる」というのは難しい。私など前へ進むにしたって、四苦八苦しながら手探りで進むことの方が多い。

とりあえず進んでみているけれど、本当にこれで大丈夫なんだろうか……みたいな。陽子の迷いは、自分自身の迷いのように感じられて、物語に引き込まれて読んでしまった。

ラストで陽子はフラメンコに陶酔した、あの瞬間でさえ「錯覚だったのかもしれない」と語るが、思えば生きるというのは、錯覚を積み重ねていく作業なのかも知れない。

自分にとって何が本物で何が偽物かなんてことは、どこま行っても分からないような気がする。

迷いながらも、しかし確実に進んでいくだろう陽子の姿は、気持ちが良くて「よし。私も頑張らなくちゃなぁ」などと思ったりした1冊だった。

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