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夕映えの人 加賀乙彦 小学館

手堅い感じで面白かった。

題名のイメージだけで手に取ったので「白い横顔が美しい人妻」と不倫する話かと勝手に思ったものだったが、精神科で働く勤務医の人後半生が淡々と綴られたものだった。

主人公は雇われ院長なので、ちょっとノリは違うけれど北杜夫の『楡家の人々』を思い出した。楡家に較べるとかなり軽い目だけど。

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夕映えの人

主人公・小谷四太郎は、六次郎、八三郎、十二四郎という男ばかりの四人兄弟の長男。

明治生まれの両親が亡くなった後、次弟の罹病と家庭崩壊。自身の務める精神病院の院長の急死と火災。息子の結婚と孫の誕生。……など様々のことが起こった。

それは、他人から見ると一見平凡で、どこの家庭でも起こりうるような出来事だが、当の家族にとってはとてつもなく大きい。老いを迎えた主人公たちは何を考えていくのか。

アマゾンより引用

感想

「淡々と綴られた」と書いたが、それはあくまでも私が受けた印象で、実際は『渡る世間は鬼ばかり』と同じくらい次々と色々な問題が起こる。

父親の死。伴侶に先立たれてバランスを崩す母親世話の辛さ。母親の死。兄弟の離婚騒ぎ、自分の病気に、息子の結婚……。

実際、生きてると色々なことが起こってくるわけで妙にリアリティのある小説だった。主人公がインテリのお金持ちでなければ、かなり貧乏臭い作品になっていたことだろう。

全体的に見てもリアリティに溢れているのだが、特にそれが際立っていたのは自分の親の葬式の場面だろう。

人が死ぬ時のあわただしさと「悲しいとか言うより、むしろ忙しい」という雰囲気が手に取るように伝わってきた。

経験したことのある人なら「あぁ。分かる。分かる。そうだよねぇ」と読んでしまうのではないかと思われる。

それと、もう1つ印象的だったのは「脳死は人の死」と考えている主人公が、自分の母親が脳死状態になった時場面。

生前に母親が「人工呼吸器なんかつけて延命されるのは嫌だ」と言っていたにも係わらず、主治医に「人口呼吸器を付けてもよろしいですか?」と聞かれて、主人公は母の意に背いてついOKしてしてしう。

人間は頭だけで考える生き物にあらず……ってところだろう。

私自身は脳死状態になって人工呼吸器を付けて欲しいとは思わないし、たぶん私が看取ることになるだろう。

私も母も、そう思っている。しかし、実際は、その時になってみないと分からないのだろうなぁ。

最後に阪神大震災を持ってきたのは、ちょっと強引な気がしたが上手いことまとまっていたので許容範囲内。でも、やはり力技な印象がぬぐえなかったのも事実。

身につまされたり、考えさせられたり、自分が抱えている問題に沿ったような形で面白い作品だった。

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白い木蓮の花の下で
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