大庭みな子の作品を手に取るのは初めてなのに、よりによって未完の作品を読んでしまった。
図書館の新刊コーナーに入っていたので喰いついてしまったのだけど、どうせ読むなら順を追って読みたかったなぁ。
勉強しないで手に取った私自身のミスなのだけど。未完の作品は感想がとても書き難い。
七里湖
病気で倒れる直前まで執筆の未完の長編小説まぼろしの作品「七里湖」の第一部と、第二部の3回分を所収した未完の大作。初の単行本化。
病気で中断した直後のエッセイ「まぼろしの七里湖」所収。
アマゾンより引用
感想
大庭みな子と言うと「大御所」なイメージがある作家さんなのだけど、私は大庭みな子についての知識は皆無だ。
やけに尖がった文章を書く人だなぁ……と思って読んだのだけど、この作品を書いた時は晩年だった(それゆえに未完なのだが)と言うのだから驚いた。
フェミニズムについて色々と書いておられたようだけど、この作品もそんな匂いでで一杯だった。
そして肝心の内容なのだけど、残念ながら私には面白くはなかった。未完なので最後まで読むことが出来れば感想も変わってきたとは思うのだけど。
「家族」とか「女性の立場」とかそういう問題が随所に出てくるのだけど、私には「正論だけど賛成できない」意見ばかりだった。
理論上は正しくても、人間って「理」だけで割り切って動ける生き物ではないからなぁ。
この作品には「情」の部分が欠けているように思った。主義主張は立派かもしれないけれど、優しさがまったく感じられないのだ。
それにしても、ある程度年を重ねた後で、これだけ尖がった文章が書けるのは凄いと思った。
よほど自分に自信があるのか、それとも様々な経験を積み上げてきて行きついた考えなのか。
この作品だけを読んでいると「恵まれた環境で生きてきた人が書いた文章だなぁ」と言う印象。だが、これも未完の1冊を読んだだけでは断定出来ない。
ちょっと面白そうな作家さんだと思ったで、とりあえず完結している大島真寿美の他の作品を読んでみたいと思う。