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映画『キャロル』感想。

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『キャロル』は映画が公開された時に観に行きたくてたまらなかったのだけど、当時は映画館で観る事が出来ずようやくケーブルテレビで視聴した。

女同士の愛の物語とのことで期待して観たのだけど、予想外に楽しめなかった。

たぶん猛烈に好きな方が多いだろう事が予想される作品なのだけど、あまり良いこと書かないのですいません…と先に謝っておきます。

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キャロル

キャロル
Carol
監督 トッド・ヘインズ
脚本 フィリス・ナジー
原作 パトリシア・ハイスミス『The Price of Salt
製作 エリザベス・カールセン
スティーヴン・ウーリー
クリスティン・ヴェイコン
製作総指揮 テッサ・ロス
出演者 ケイト・ブランシェット
ルーニー・マーラ
サラ・ポールソン
カイル・チャンドラー
音楽 カーター・バーウェル
ザックリとこんな作品
  • お金持ちのマダム、キャロルはクリスマスにデパートの玩具売り場で若い女性店員と恋に堕ちる。
  • キャロルが恋に堕ちた女性の名前はテレーズ。
  • テレーズはデパートの玩具売り場で働きながらカメラマンになりたいと願っている上昇志向のある女性。
  • 前提としてキャロルはお金持ちで夫と子どもがいる。
  • テレーズは恋人がいるもの独身1人暮らし。
  • ちなみに「同性愛は精神疾患」と考えられている時代背景。
  • キャロルとテレーズの恋の行方を描く。

感想

こんな書き方をすると身も蓋もないけれど『キャロル』は要するにレズビアン(厳密に言えばバスセクシャル)の不倫である。

私はいつも思うのだけど、恋愛作品において同性愛を扱った物は「切ない恋」とか「美しい恋愛」と呼ばれるけれど、不倫に同性愛も異性愛もあったもんじゃない。

『キャロル』の場合、独身のテレーズはさておき「夫と子どものいるキャロルのやってる事は倫理的にどうなんだい?」ってところを、とりあえず横に置ける人じゃないと楽しめない。

不倫物は不倫をどこまで美しく描けるか…ってところがポイントただと思う。

巷では評判の良かった作品だけど『キャロル』は不倫愛としては陳腐だと思う。「女同士の恋愛」と言うことで、評価が甘くなっている気がする。

キャロルは根本的に女たらし。テレーズはウブで生真面目だけど魅力あふれる若い女性。こう言う設定って男女だったら掃いて捨てるほどある。

女たらしのキャロルがテレーズに目をつける2人の出会いの場面で私は思った。「テレーズ、逃げて~。全力で逃げて~」と。

不倫の恋の場合、沢山傷つくのは独身の立場にある方だって事は今さら語るまでもない。しかし、テレーズはあっさり恋に落ちてしまうのだ。

しかし「あんだけ綺麗な女性からアプローチかけられた恋に落ちても仕方ないな」と思わせるだけの説得力はあった。

私がテレーズの立場でも、あっさりやられていたと思う。あんな美人な迫られてNOと言える人がいるだろうか?

恋に落ちた2人は次第に心を通わせていくのだけれど当然ながら不倫なので上手くいくはずもなく、2人の間に大きな壁が立ちはだかる。

ここからの流れはネタバレになるので気になる方は作品をご覧戴くか、ネタバレサイト等であらすじをご覧ください。

女優さんの綺麗さ、音楽の美しさ、画面のお洒落さって意味では好みの作品なのだけど、どうしても心から楽しむ事が出来なかった。

それはキャロルが母親でなく女を取ってた…って流れが私にはどうしても受け付けられなかったのだ。

恋愛映画だから「母である前に女」なのは仕方がない事ではあるのだけれど、自分のやってる事は棚上げしおいて「娘を傷つけたくない」とか「私から娘を引き離すなんて」とか「ちょっとあなた、それはどの口で言ってるの?」って話だ。

申し訳ないけれどキャロルの言い分は瀬戸内寂聴的で全く同意出来なかった。

『キャロル』の舞台設定同性愛は認められていなかったし、それどころか「病気」として治療されるべき症状として考えられていた。

時代背景(1950年代)からの無理解については同情を禁じ得ないところではあるけれど、それでもなおキャロルの行動には同意出来ない部分がある。

恋愛映画としては良く出来ていたとは思う。

全編を通して美しくてロマンティックに仕上がっている。ただ正直なところ雰囲気映画の枠は出ないかな…と言う印象。

個人的には女同士の愛を扱った映画なら、ケイト・ウインスレットのデビュー作『乙女の祈り』の方がずっと好みだ。

ただ、こちらは恋愛映画とは言い難い感じのバッドエンド。胸糞悪い系の作品なのであまり人にはオススメ出来ない。

文句ばかり書いてしまって恐縮だけど恋愛映画としては美しく仕上がっているし、女優さんは綺麗だし音楽も素敵。

『アメリ』の世界観が好きな人ならけっこう楽しめると思う。服装や調度品を眺めているだけでもうっとり出来る作品に仕上がっていて「映像美」としては素晴らしいと思う。

私は物語に引っかかりを覚えてしまったために無心で楽しむ事は出来なかったけれど、良作の部類に入る映画だと思う。

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