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トコとミコ 山口恵以子 文藝春秋

面白かった! 大河ロマン好きな方には是非ともオススメしたい。

昭和初期から平成にかけて繰り広げられる2人の女の物語。『早春賦』を読んだ時に「この路線の作品をもっと読みたい」と熱望したけれど『早春賦』よりもずっと面白い。さらに言うなら前回読んだ『イングリ―熱血人情高利貸―』を読んだ時に「いい女を描かせたら天下一品なのに対して男性はペラッペラ。」と言う感想を書いたのだけど、その男性描写を切り捨ててきた。この作品において男性はダブル主人公を引き立てるオマケでしかない。作者の良いところを存分に発揮している作品だと思う。

この作品は伯爵令嬢の燈子(トコ)と、燈子の遊び相手として屋敷に通うことになった美桜子(ミコ)の友情を描いた作品なのだけど、夫や子どもよりも長い付き合いの相手…ああなってくると魂の片割れって感じなのだろうか。実に6歳から96歳まで描かれている。男同志の普遍的な友情を描いた作品は多いけれど、女同志の友情を描いた作品はあまり無いだけに貴重な作品だと思う。

骨の髄までお姫様である燈子と、戦後の混乱期を女一匹逞しく渡っていく美桜子。あまりにも、物事が上手く進んでいくので「そんな都合の良い話ってある?」と気になっちゃう人もいるかと思うのだけど「細けえこたぁ、いいんだよ」と思えるほど話がサクサク進んで面白かった。大河ロマン好きな人間が好むであろう要素が全て詰め込まれていると言っても過言ではない。華族の姫君、女実業家、すれ違う恋、道ならぬ恋、嫉妬と裏切り…などなど。ドラマ化したら面白いと思う。

2人のヒロインはそれぞれタイプが違う女性だけれど、根っこが善良であるとろこに好感が持てた。トコに対してコンプレックスを持ち、見ようによってはガメついとも思える商売をするミコでさえ結局のところは良い人なのだ。そして何よりも2人は互いを心の底から信頼しているところが素晴らしいと思った。

面白くて一気読みしてしまった。世の中に小説は沢山あるけれど、新規で大河ロマンを書いてくれる人は少ないので貴重な作品だと思う。なんだかんだ言って私はすっかり作者の事が好きになってしまっているので次の作品を楽しみにしたい。

トコとミコ 山口恵以子 文藝春秋

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