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地の蛍 内海隆一郎 徳間書店

戦時中、炭坑を開発するために東京を離れて地方にやってきた主人公と、彼を支える人達の物語だった。

炭坑と言っても石炭ではなく「亜炭」の炭坑。

この小説を読むまで、私は「亜炭」なんてものがあるのを知らなかった。亜炭は石炭より威力は劣るとのこと。

資源の無い日本は、戦争をするためにそこまで頑張らなきゃいけなかったのだなぁ…などと少し勉強になった。

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地の蛍

昭和十五年。統制令により燃料が軍需主体へと移行しつつあった。

岡村寛次郎は、代替燃料として有望な亜炭層が発見された岩手県南部で鉱山開発に着手する。現地で補佐するのは、寡黙だが義に厚い佐忠だった。

地元土建業者との確執、外国人鉱夫への嫌がらせ、落盤事故、特高警察の追及…岡村たちに次々と困難が降りかかる。不安な時代を懸命に誠実に生きる男たちの感動物語。

アマゾンより引用

感想

なんと言うのか。正統派で真面目な作品だった。

主人公のピンチを助けてくれる武道の達人の俥屋さんとか、飄々として頼りになるご隠居さん。主人公の右腕となる朴訥だけど切れ者の青年とか。

人間関係がしっかり描かれている上に、人情が溢れていて読んでいてとても心温まる。

朝鮮人の炭坑夫の描き方も良かったと思う。

朝鮮人が小説で描かれる場合、必要以上に気負ってしまうのか「ものすごく良い人」だったり、「被害者」もしくは「悪人」として、極端な描かれ方をすることが多いように思うのだけど、人間味を残しつつ良い感じで描かれていて好感度大。

特別な人達……ではなく、あくまでも「1人、1人の人間」として読むことができた。

物語の作りも丁寧で面白かったのだけど、敢えて文句を付けるとするなら、悪人が1人も出てこないので、胡散臭い感じになってしまったというところだろうか。

戦争というバックがあるにも係わらず、人間のドロドロとした汚い部分は全くと言っていいほど描かれておらず、どこか牧歌的な雰囲気さえ漂っていた。

綺麗ごとだけでは済まされないと思う部分もサラリと流されてしまっていたのは残念に思う。

同じ炭坑物でも、吉村昭の描くそれとは全く違っていて、かなり読みやすい。

いささか物足りない感はあるが読んでいて気持ちの良い作品だと思う。

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白い木蓮の花の下で
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