村田喜代子と言う作家さんを追うようになってからずっと「この人の書くものにハズレなし」と思っていたけれど、今回はじめて無理だった。
言葉は悪いけれど「毒にも薬にもならない作品」って印象。「ナニコレ?」と吃驚してしまった。こんな作品もあったんだ…とある意味新鮮だったかも。
人の樹
木と結婚する娘たち、前世が木であった男。極寒のシベリアを行軍する旧日本兵の松の木。蕾の開花支度に精を出すリラの娘。人間の葬式にやってきた老樹たち。樹と人にまつわる不思議な物語を編んだ連作短編集。
アマゾンより引用
感想
「樹」をテーマにした短編集。「樹」自体が主人公だったり、「樹」と共に生きる人が主人公だったり。
1つ1つの話自体は下手くそ…ってほどではないけれど、純文学系の作品を読むつもりで手に取ると「膝カックン」をされたような衝撃を受ける。
そして何より駄目なのは村田喜代子はファンタジー作家でも、童話作家でもないので、読んでいて軽く寒い…ってことだ。
ファンタジーとか童話を否定するつもりはないし、むしろ好きなジャンルではあるけれど、センスや魂のない人が書いたは爆死だと思うのだ。
あまりにも面白くないので「どうしてこんな作品なんだろう?」と調べてみたとろこ「パンプキン」と言う主婦雑誌に連載していたとのこと。
ついでに言うと「パンプキン」は某宗教団体系の雑誌で、なるほど納得。
主婦雑誌を馬鹿にするつもりはないけれど、主婦雑誌に連載する作品って、片手間なのかな…とは思う。文芸誌と違って読者はその作品が読みたくて雑誌を買う訳では無いものなぁ。
唯一興味深かったのは人間が木と結婚する「樹木婚」という風習。実際にインドで行われいた風習とのこと。
『雲南の妻』で出来た「女性同士の結婚」もそうだけど、この人は結婚について何か思うところがあるのだろうなぁ。
そういうところは嫌いじゃない。そしてこの作品でも思ったのだけど、この人の書く「女同士の関係」は微妙に同性愛の匂いがする。
……と。あれこれ書いてみたけれど、手元に置いておきたいと思えるような作品ではなかった。次はしっかりと濃い作品を読ませて戴きたいな…と思う。