昨日、ツイッターで『ある漫画の連載終了を受け、漫画家や作り手が語り始めた『孤独』と『ファンの声』についてのお話』と言う話題が盛り上がっていた。
とある漫画家さんが「漫画家」と言う仕事の孤独さを語った事から、別の漫画家やファンから次々と意見が出たと言うもの。
漫画家の問題と言うことになっているけれど、これは活字で仕事をしている人達にも当てはまると思う。
作家、漫画家へのファンレター
最近は作品の感想と言うとツイッターだのブログだのが主流になっているけれど、漫画家や作家宛に手紙を出す方がずっと効果的だし応援としての力があるんですよ」と言うような事を書いている漫画家さんがいた。
「わざわざ切手を買ってまでファンレターを出してくれるほどのファンを持つ作家なんだな、と、出版社からの評価が上がる」と言う話だ。
私は今まで生きていてファンレターを書いた作家は遠藤周作だけだ。
返事はもちろん来なかったし、返事が欲しいとかそう言うのではなくて「こんなに素晴らしい作品を読ませてくれてありがとう」と言う気持ちをどうしても伝えたかったのだ。
学生時代の話で「私も若かったなぁ」と、今となってみれば、こっ恥ずかしい思い出だ。
しかし、もし本当に「1枚の葉書が好きな作家の力になる」と言うのであれば、ファンレターなり感想なりを出すことは吝かではない。
……とは言うものの、ファンレターを出すことに対して迷いがあるのも事実だ。
私が愛してやまない作家、中山可穂は熱烈なファンに辟易しているような事をエッセイに書いていた。
ストーカーのようなこともあったらしいので同情を禁じ得ないのだけど、作家の中には「手紙を貰っても迷惑」と思う人もいるのではないか……と。実際、西村賢太もファンに対して辛辣な事を書いている。
迷惑とまでは思われなくても「ちょ……この人の感想、キモイんですけど!」などと思われるくらいなら、ひっそり作品を楽しむだけで充分だと思ってしまう。
世の中には行動的で「ガンガン行こうぜ!」なファンもいるだろうけれど、好きな作家を傷つけたくないし、自分が気持ち悪がられるのも遠慮したいところ。
ファンレターの是非については作家さんによって受け取り方が違うだろう。
しかし、売れっ子さんならともかく、新人さんの場合は感想を送った方が次の作品への力になるように思う。難しい問題だと思うのだけど、この辺の部分は作家ではなくて編集者や出版社が調整すべきではなかろうか。
昨今は本や漫画が売れないと言われているけれど、出版社サイドが作家を大切に育てていこうとする姿勢が足りないように思う。
奥付に「ご感想をお待ちしています。みなさまの声が作家の力になります」的な事を書いておけば、ファンレターを出してくれる人も増えるのではなかろうか?
思えば昔は奥付に作者の住所を書いている本が多かった。
特に児童書や絵本の類。プライバシーも何もあったものではなかったろうけれど、あれは「お手紙待ってます」と言う意味合いがあったのではないかと思う。
ファンレターを出すのは良いけれど
小説にしても漫画にしても良い作品を書いてくれる人がいなければ楽しむ事は出来ない。これほど他力本願な趣味はないと思う。
私がWEB上にほんの感想を書くのは「好きな作家さんを応援したい」と言う気持ちが多少なりとも含まれている。
基本的には図書館派だけど好きな作家の本はハードカバーで買う。
もし本当に「1通のファンレター、1枚のハガキが作家の力になるんです」と言うなら、趣味費として作家応援用の切手なりハガキなりを毎月計上してもいい。そして毎月、良かったと思う作品を書いた作家さんに手紙を送る。
だけど、実際のところは、どうなんだろう?
そもそも「知らない人に手紙を書く」って勇気がいる事なのだ。
だからこそ「わざわざ切手を買ってまでファンレターを出してくれるほどのファンを持つ作家なんだな、と、出版社からの評価が上がる」と言う話になるとは思うのだけど、相手に喜んでもらえるかどうか分からない物を「あえて」出す人がどれくらいいるんだ……って話だ。
たぶん無理なんだろうけれど「この作家はファンレター欲しい派」とか「この作家はファンレターいらない派」って事が奥付に明記していればいいのにな……と思う。