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第153回芥川賞雑感。

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今年の芥川賞は芸人の又吉さんが受賞したとかで、賛否の意見を読むのがとても楽しい。私はまだ芥川賞受賞作の『火花』を読んでいないので、どうにもこうにも言えないのだけど、ブームが落ち着いて図書館の棚に並ぶようになったら読んでみたいとは思っている。

芥川賞と直木賞は本好きの人間にとってビッグイベントだ。「あの人が取るんじゃないかな」と予想するのも楽しいし、受賞が決定してから、あーだこーだ言うのも楽しい。

私もかつては「こんな作品が芥川賞を取るなんて許せない!」と血気盛んにワーワー言っていた時期もあったけれど、この年になると応援すしている作家さんが候補に上がっている時は、その人に取って欲しいと思うものの基本的は「別に誰が取ってもいいんじゃないかな」って気持ちになっている。

直木賞の場合「出版業界に貢献した(あるいはこれからガンガン売れそうな)人に対する功労者的な意味合いがあるかと思うのだけど、芥川賞の場合、青田買い的と言うか「期待してるから箔付けてあげるよ」的なところが強いと思う。

そして直木賞を取った人はそれ以降も確実に売れっ子として活躍するけれど、芥川賞の場合は一発屋で消えていく可能性がやたら高い。芥川賞で箔を付けて大物になっていく人も多いけれど、芥川賞の受賞作を読んで「この人、期待出来そうだな」と思ったのに、芥川賞以降とんと噂を聞かない作家さんの多い事と言ったら! 例に上げるのもなんだけど『介護入門』で芥川賞を受賞したモブ・モリオはどこへ行ってしまったのだろう? 芥川賞に相応しい作家さんであるのなら周りがどうこう言おうが言うまいが、ほっといたって次々と作品を送り出してくれると思う。

又吉さんが芥川賞って悪くないと思う。良い作品を量産出来る人ならこれから先も活躍するだろうし、たとえ彼が一発屋だったとしても、少なくとも『火花』では書籍の売上に貢献してくれたのだし。

本好きとしては「芥川賞を誰が取るか」という事よりも、むしろ「これから先、出版業界が先細りしていかないか」って事の方が大問題。本が売れて作家が儲かる世の中なら「作家になりたい」と言う人も増えるだろうし、名作が出てくる可能性も上がるけれど「本が売れない」「作家じゃ食えない」となれば、作家になる人も限られてきて、面白い本が少なくなってくるかも知れない。

読書って趣味はどうしようもなく他力本願な面を持っているので「面白い本に出会えるかどうか」で、読書人生が変わってくると言っても過言ではない。どうかどうか又吉さん。出版業界に貢献して、面白い作品を世に送り出してやってください。芥川賞が世間に大注目された」って意味では、今回の芥川賞は面白かったな……と思う。

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