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はだかの白鳥 阪大大学院卒でAV女優に 藤かんな 飛鳥新社

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Twitter(元X)で『はだかの白鳥展』ってのが開催されている…と言う話題が流れてきて「藤かんな」ってAV女優さんの存在を知った。

数年前にTwitterで炎上して話題になった人とのことだけど、私は全く知らなかった。炎上云々…ってのは興味のある人にとっては炎上でも、その界隈とは関係ない人のところには届かないものなのだ。

阪大の大学院を卒業してAV女優になるだなんて、なかなか面白い経歴の方だなぁ~ってことで自伝的エッセイ?をAudibleで読んで(聞いて)みることにした。

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はだかの白鳥 阪大大学院卒でAV女優に

ザックリとこんな内容
  • 藤かんなは阪大大学院を卒業後、上場企業で研究職に就くが、職場の人間関係に悩み、孤立感を深めながら日々を過ごしていた。
  • AV業界への挑戦を決意し面接や撮影の裏側を赤裸々に綴り、葛藤を抱えつつも、自身の選択を受け入れ、成長していく過程を詳細に描き出す。

感想

「藤かんなって凄い人だなぁ~」と素直に感心したし、AV業界とAV女優の認識がちょっと変わった。

偏見に満ちた意見で申し訳ないけれど今まで私はAV女優って底辺層の人がする職業だと思っていた。低学歴だったりメンタル病んでいたり、過去に性的虐待を受けていたり、貧困家庭出身だったりするような「THE不幸」みたいな人ばかりで、美しい容姿をしているけれどクスリをキメてラリってしまうような人ばかりだと思っていた。大変申し訳ない。

「両親から愛されて育った自覚があって学歴もご立派。さらに言うなら幼少期からバレエを習わせてもらえる程度には裕福な家庭で育った人」がAV女優になるのだなぁ。

ただし、この本を読んでみると順風満帆に成長した訳ではなくて彼女なりの挫折等があって、様々な悩みを経てAV女優という道を選択しているのは興味深いところではある。

そして何より感心したのは「AV業界って案外しっかりしてるのね」ってこと。

女優の扱いにしても性病検査にしても、普通の男女カップルよりも丁寧だよね…まである。風俗業界がどんな運営なのかは知らないけれど、思ってた以上にクリーンな世界で驚いた。

読んでいて作者を応援したくなるような作品だったけど、全面的に賛同することはできなかった。

かつて作者がAV女優であることを伏せてバレエ教室で教えていたら解雇されたことら対して「AV女優がバレエ教師をして良いのかどうか?」ってことで炎上したそうなのだけど、それについては全面的に味方することが出来ない。

大人向けのバレエ教室ならアリだと思うのだけど、子ども向けのバレエ教室となると「AV女優がバレエ教室やって何が悪いの?」と開き直られると苦笑いしてしまう。

そもそも。AVは法的に「子どもは見ちゃいけませんよ」ってことになっている。

「生徒から本業について聞かられた時、自分の生徒に対してどうやって説明するんですか?」って話だ。

職業に貴賤は無い…とは言うものの、いわゆる「R18」の壁がある限り法的に子どもが触れていいコンテンツと触れてはいけないコンテンツがあるのだから「何が悪いんですか?」と聞かれたら「そりゃ悪いですわ」としか言えないのだ。

……と言うお堅い話は横に置いておくとしても。

例えば自分の生徒が同級生男子から「お前のバレエの先生、エッチなビデオに出てるんだってな!」みたいなことを言われるだろうことを想像して戴きたい。子どもって生き物は案外残酷なのでけっこうなことなるだろうな…ってことは簡単に予想できる。そうなった時に教え子を守ることが出来るのだろうか?「はぁ?私の仕事はバレエを教えるだけですが?そんなの知ったこっちゃない」ってメンタルであるなら、子ども相手の指導者には向いていない。

ただ、このあたりの部分を突っ込むのは野暮なのだろうな…とも思う。作者の藤かんな。本当か嘘かは知らないけれど、この本の中ではまだ両親に自分がAV女優であることを打ち明けていないのだ。

彼女は「娘がAV女優になったと知ったら両親が悲しむ」ってことを知っている。なので意地の悪いツッコミは不要なのかも知れないな…と。

『はだかの白鳥 阪大大学院卒でAV女優に』は頭の良い人の書いた文章なのでとても読みやすかったし、自分自身の物の見方を考え直す良い機会になるかと思うので、興味のある方は是非手にとって戴きたいと思う。

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