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ほどける骨折り球子 長井短 河出書房新社

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理解不能で謎過ぎる題名に惹かれて手に取った。作者の長井短は芸能人でもあるらしいけど、あまりテレビを観ないのでどんな人だかまったく知らない。最近、話題に上りつつある新進気鋭の作家…ってポジションとのこと。

私はどちらかと言うと自分の好きな作家の本ばかりを手に取りがちなので意識的に新しい作家に手を出そうと心掛けているけれど、若い作家さんの書く作品は世代間ギャップのようなものを感じたりして面白い。

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ほどける骨折り球子

ザックリとこんな内容
  • 表題作『ほどける骨折り球子』の他『存在よ!』を収録。
  • 主人公の「俺」の妻である球子は「俺」を庇うために繰り返し骨を折り、そのたびに「俺」は彼女を守ろうと奔走する。
  • 夫婦間で繰り広げられるこの「守りバトル」は、互いの「弱さ」と「強さ」に後ろめたさを感じながらも、やがて異様な熱中へと発展する。
  • 『存在よ!』は無名モデルのキヌが主人公。映画の撮影現場でキヌは女の幽霊を見るようになり……

感想

『ほどける骨折り球子』って良い題名だと思う。声に出して読んだ時の語感が良い。そしてヒロインの名前がキラキラネームではなくて「球子」なんてところも素敵だ。

クセが無くて読みやすくテンポの良い文章で中島らもとか鴻上尚史の文章を連想した。ただ物語の発想や方向性については若い世代の人だと思う。

この1冊には『ほどける骨折り球子』と『存在よ!』の2編が収録されているのだけど、この2つの作品は方向性が違っていて1冊の本に詰め込むには違和感さえ感じた。

『ほどける骨折り球子』にジェンダー問題が突っ込まれているのに対して『存在よ!』は芸能界を舞台にしたお仕事小説的な作品になっている。ちなみに私は「面白い切り口だな」と思ったものの好きか嫌いかと言われると、正直どちらも好きじゃない。

『ほどける骨折り球子』は球子がめちゃくちゃ面倒くさいタイプの女性で同じ女性として1ミリも共感できなかった。球子は「夫は自分よりも強いと思ってるから自分に優しくする」…と言う、フェミニズムを拗らせたような思考の持ち主。面倒くさい…実に面倒くさい。

男女平等と言ったところで生物として見ると男性と女性ではスペックが違う。球子は大人が子どもに優しくしたり、若者が高齢者を労ったり、障がい者や病人に配慮したり…ってところをどう考えているんだろうな。私は球子と同じ女性だけれど、球子はお近づきになりたくないタイプだ。

『存在よ!』は芸能界お仕事小説と幽霊話を組み合わせたような作品で気楽に読めて面白かったけれど心に爪痕を残してくるような作品ではなかった。

要するにこの本は「可もなく不可もなく」ってところだ。題名だけが心に残った。

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