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小さいおうち 中島京子 文藝春秋

久しぶりに「直球ど真ん中」の作品を読ませてもらった。

今年読んだ本の中ではダントツに良かった。作品的な評価と言う意味ではなく「私個人としてのツボ」にグサっと刺さる作品で、夢中で読んだし読後も色々と考えさせられた。

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小さいおうち

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昭和初期、女中奉公にでた少女タキは赤い屋根のモダンな家と若く美しい奥様を心から慕う。

だが平穏な日々にやがて密かに“恋愛事件”の気配が漂いだす一方、戦争の影もまた刻々と迫りきて―。

晩年のタキが記憶を綴ったノートが意外な形で現代へと継がれてゆく最終章が深い余韻を残す傑作。

アマゾンより引用

感想

昭和という時代を生きた「タキ」という女中の物語で晩年のタキが手記を書き記すところから物語が始まる。

この手記をめぐって色々とあるのだけれど、秘められた「謎」はもちろんのこと、それ以上に戦前・戦中を生きたタキという人の生きざまが鮮やかに描写されていてグイグイ読ませてくれた。

ただ、もしかしたら……なのだけど、こりこの作品は男性が読んでもそれほど面白くないかも知れない。

女性にターゲットを絞った訳ではないだろうけれど、女性のための小説だと思う。

この作品は第二次世界大戦前後の出来ごとがメインなのだけど、戦争はほとんど語られていない。

良いか悪いかはともかくとして、人間には「世の中がどうだろうが、美味い物が食べられて自分の周囲の人とそこそこ楽しく暮らせたらそれ以上何も望まない」ってタイプの人がいる。統計をとってみないと分からないけれど、女性に多いタイプじゃないかと思う。

そのテの人間は世界が狭かろうが、世界的に大変なことが起ころうが、そんなことは気にしない。ただ自分の手の届く範囲、自分の動く範囲だけが大切なのだ。

主人公のタキはまさにそのタイプ。

しかし彼女は自分の動く範囲の中で誠実に懸命に生きていく。器の小さい、愚かな生き方かも知れないけれど、どちらかと言うと私もタキに近い思考を持っているので、彼女の気持ちに沿って読み進めることが出来た。

この作品はタキという女中の物語であると同時に2つの恋の物語でもあると思う。

奥様と板倉の恋。そしてタキ自身の恋。

タキの口から直接、恋を語られることはないのだけれどタキは間違いなく恋をしていたのだと思う。

巷の感想を読んでいると「タキは板倉に恋していたのではないか」と考える人と「タキは奥様に恋をしていたのではないか」と考える人に分かれるようだが、私は後者ではないかと思っている。

もっとも、その正解は書かれていないのだけど。

それにしても作品の題名が、有名な絵本に引っ掛けているとは思わなかった。

あくまでも作品の中の架空の絵本なのだけど、絵本好きの人ならハッっとさせられたと思う。

個人的には、軽く謎解き要素を取り入れた作りはあまり好きではないのだけれど、こういう形式の方が読みやすい人が多いのかなぁ……などと思ったりもする。

図書館で借りた本なのだけど文庫本で買って手元に置いておきたいと思う。吃驚するほど自分の肌に馴染む作品だった。

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