昨年の秋の選挙の後「せっかくだから選挙(政治家)系の小説でも読むかな」と手に取った(本を読むのと感想をアップするのにはタイムラグがあるので今になった)
池井戸潤って何を書かせてもまあまあ手堅く面白い印象があるけれど『民王』はテレビドラマ化されていた記憶がある。「ドラマ化したくらいの作品だったら面白いに違いない」と思って読んだのだけど、いまいち私の好みではなかった。
民王
ザックリとこんな内容
- ある日突然、内閣総理大臣の武藤泰山と大学生の息子・翔の心と体が入れ替わってしまった。
- 混乱を避けるため泰山と翔周囲には秘密のまま互いの仕事や生活を入れ替わった状態で過ごすことになるが、翔は政治に全く興味がなく、ろくに漢字も読めないため国会答弁も苦労する。
- 泰山も就職活動で面接官を偉そうに論破しては不採用になるなど苦闘することになる。
- 日本の政治はどうなるのか? そして親子は元の身体に戻ることが出来るのか?
感想
なんだか予想以上にラノベと言うか漫画だった。漫画雑誌で言うならビッグコミックオリジナルあたりで連載していそうなノリ。小説なので、何でもアリ…と言えばそうなのだけど、正直ついていけなかった。
ラノベなのは許せるのだけど作品全体が下品なのだ。昭和&平成の嫌なオッサンのエキスを煮詰めたような感じ。テンプレ的な価値観と世界観。「女ってこんなもんでしょ?」的な女性描写。読むに耐えなかった。
ドラマは評判が良かったようだけど、ドラマ化する時に良い感じに修正されていたのかも知れないなぁ(遠い目)
ただ池井戸潤の書く文章のテンポの良さはお流石で立ち止まることなくイッキ読むできる面白さではあった。なんかこぅ…むせ返るようなオヤジ臭さにウンザリしてしまっただけで、池井戸潤が書こうとしていることは理解できたし、物語自体は悪くないのだ。
池井戸潤って私より10歳上でしかないのに、父親世代くらいの隔たりを感じてしまう。やはり銀行員としてバブル前の時代を生きた人なだけに、その当時の価値観が色濃く残っているのだうか。
悪くはないけど…悪くはないけど品の無さはどうしようもなくて正直キツイ。面白くなかった…とは言わないけれど、気持ちの良い読書ではかったし人にオススメするのを躊躇ってしまう類の1冊だった。