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藤井聡太のいる時代 朝日新聞将棋取材班 朝日文庫

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何度も書いているけれど、私は将棋をしないくせに将棋界隈のドラマが好きだ。

以前、藤井聡太の師匠が書いたエッセイ『師匠はつらいよ 藤井聡太のいる日常』を読んで「私も将棋を覚えるぞ」と初心者向けの将棋指南本を買ったものの、将棋というゲームに対して興味を持てず、いまだに将棋を指したことはない。

私は将棋の基礎さえ知らない人間だけど、棋士達の人間ドラマにワクワクする。そして「それなら、やはり藤井聡太はキッチリ押さえておくべきか?」と思い立ち『藤井聡太のいる時代』を読んでみることにした。

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藤井聡太のいる時代

ザックリとこんな内容
  • 朝日新聞の連載を文庫化
  • 藤井聡太のタイトル獲得の舞台裏から睡眠時間、勉強法など、どのような環境で生まれ育ち、どのように将棋と出合い、強くなっていったのか紐解く
  • 本人、家族、個性豊かな対戦相手の棋士の取材で様々な事実が浮かび上がる

感想

藤井聡太は有名過ぎて改めて本を読まなくても、彼の功績や人となりを知っている人は多いと思う。正直言って『藤井聡太のいる時代』に書かれていることの半分くらいは「藤井聡太の人となりをおさらいする」みたいな感じの内容だった。

しかし私は『藤井聡太のいる時代』に描かれていた「藤井聡太の母」の教育方針と育児に「なるほどなぁ」と感心させられたので「読んで良かった」と素直に思った。

藤井聡太は猛烈に将棋が強いだけでなく、あんなに強ければ驕り高ぶったって不思議じゃないのに腰が低くて物腰が柔らかい。彼をテレビや何かで見掛けるたびに「何なの?出木杉君なの?人生2周目?」みたいな気持ちにさせられるのだけど「なるほど…あんな母の元で育ったらいい子に育ちますわ」と納得した。

藤井聡太の母、めちゃくちゃ教育熱心だった!

教育熱心…と書くと語弊がある。「小さい頃から七田式に入れて、英語習わせて英才教育して…」みたいな教育熱心ではない。「子どもが興味を持つことを全力でサポートする」って意味で。

一時期「藤井聡太はモンテッソーリ教育を受けていた」みたいな取り上げられ方をしたことがあるけれど、藤井聡太の母は「たまたま家から1番近かった幼稚園がそうだった…ってだけで、それが目的で入園させた訳じゃない」と話していたのがとても良かった。(言っちゃあなんだけど流行りのモンテッソーリ教育って眉唾なんだよなぁ)

ゴリゴリのスポーツ選手とか芸術家になるには本人の才能が何より必要だけど、周囲…特に親のサポートは必須だと思う。子のサポートに徹する藤井聡太の母の話は色々と考えさせられた。

偉大な功績を残す人の親って親も凄いと思う。大谷翔平のご両親もそう。きっと「大谷翔平の育て方」みたいな本を幻冬舎から出したら売れまくるだろうし、そんなオファーもあっただろうけど、大谷翔平のご両親はそういう事をしないのだ。それどころか大谷翔平の母は今でもパートを続けていると聞く。

人の子の親となったからには、粛々と子どもをサポートして、あたり前にご飯食べさせて寝かせる…って大事なんだな…ってことを改めて感じた。私自身、高校生の娘の母なので『藤井聡太のいる時代』からは学ぶところが多く「娘としっかり向き合っていこう」と思った。

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