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リラの花咲くけものみち 藤岡陽子 光文社

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『リラの花咲くけものみち』は北海道が舞台の小説。しかも主人公は女性で獣医師を目指している…と知り「読まねば(使命感)」みたいな気持ちになった。私は読書も好きだけどヲタクでもあるので『動物のお医者さん』で育っているので獣医学科は特別な存在。

さらに言うなら北海道が舞台。北海道を舞台にした小説と言うと三浦綾子に桜木紫乃。最近では河崎秋子など好みの作家&作品が多いので期待大…って感じだった。

「感じだった」と過去形なのは、読んでみたものの好みではなかったから。『リラの花咲くけものみち』は本屋大賞にノミネートされていて、それなりに評判は良かったようだけど私としてはツッコミどころの多い作品だった。

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リラの花咲くけものみち

ザックリとこんな内容
  • ヒロインの岸本聡里幼い頃に母を亡くし、父が再婚した継母とうまくいかず不登校になった。
  • 愛犬だけが支えだった聡里は、祖母に引き取られペットと暮らすうちに獣医師を志す。
  • 北農大学獣医学類に入学すると、面倒見の良い先輩や同じ志を持つ同級生に囲まれ、学業やアルバイトに奮闘する。
  • 伴侶動物(ペット)の専門医を目指していた聡里だったが、馬や牛など経済動物の医師のあり方を目の当たりにして…

感想

『リラの花咲くけものみち』は最後まで読むと「まあまあかな」くらいの気持ちになれるのだけど、序盤のツッコミどころの多さにウンザリしてしまった。

私自身、子どもに関わる仕事をしているだけに主人公の不幸な境遇は謎過ぎたし「不幸にするために無理やり作った設定」としか思えなかったのだ。とにかく周囲の大人がクズ過ぎた。そしてリアルに設定自体「それは無理っすね~」って部分があり、ラノベや漫画ならギリギリ許されるだろうけど、大人の小説としてはNG。

主人公は母親が死んだ後、継母と上手くいかずに祖母に引き取られるのだけど、父親がクズ過ぎてビックリだった。そして祖母と2人暮らしで不登校…って設定なのに北海道の私立大学の獣医学部(6年間)に進学するとか謎過ぎる。

祖母は学費を捻出するために持ち家を売って都営住宅に引っ越す…みたいな話だけど、そもそも都営住宅は持ち家ある時点で申し込みできないからね? 公的サービス舐めんなよ。一部税金でまかなっている制度の公営住宅は「住宅にお困りの方」のためのサービスなので、審査はそれなりに厳しくて物語の設定では成り立たないのだ。

そもそも祖母と2人暮らしの元不登校女子高生に北海道の理系私学(下宿設定)を勧めてくる塾教師なんてロクなもんじゃない。獣医学部6年間&下宿でどんだけ費用がかかると思ってるんだよ。

……などなど。もう最初から怒涛のご都合主義設定オンパレードで頭に血が上ってしまった。

ただ獣医学部入学以降は、まあまあ良かった。挫折、友情、成長、恋…と成長小説のテンプレをしっかり抑えてくれていたし、獣医学部の人達の生活勉強は素直に面白いと感じた。主人公がちゃんと成長していて「成長小説」としてはアリだと思う。

ただ、まぁ…アレだ。作品として評価するなら正直イマイチとしか言えない。前半部の破綻した設定は残念過ぎたし、序盤の時点展開が読める(特に恋愛方面)のも残念だった。

小中学生向けのジュニア向け小説としてならアリかな…とは思うものの、大人の読み物としては耐え難い。最後まで投げずに読んだ自分を褒めてあげたい…と思った1冊だった。

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