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障がいのある未就学児の進路の話。

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1月から3月って新年度に向けて進路が決まっていく子ども達が多い。

就職試験、大学受験、高校受験、中学受験、小学校受験、幼稚園・保育園・子ども園の合否判定…。受験生じゃなかったとしても親も子もしんどい季節だと思う。

私が働く医療型児童発達支援センターで療育を受けている子ども達の中には3月でセンターを卒退園して新しい進路先に進む子がいる。

最年長児は地域の小学校の支援級に進んだり支援学校に進むのだけど、1歳~5歳児でセンターを退園する子もいる。進路先はこんな感じ。

  • 福祉型の児童発達支援センター(療育園)
  • 幼稚園・子ども園・保育園(サポートあり)
  • 幼稚園・子ども園・保育園(サポートなし)

福祉型の児童発達支援センターは医療型児童発達支援センターの子ども達より障がいが軽め。「集団で過ごす」ことを大切にしていて、親子療育ではなく子どもだけで通園する。イメージとしては幼稚園・子ども園・保育園の支援学校版…みたいな感じ。

幼稚園・子ども園・保育園のサポートあり…と言うのは、最近流行りのインクルーシブ教育のくくり。加配の先生にサポートしてもらいながら健常児のお子さんと一緒に保育を受ける。

福祉の世界は本人の意思が尊重されることを基本とするけれど、子どもの場合は保護者の意思が大きく左右される。

……とは言うものの障がい児の場合、必ずしも保護者が希望した進路に進めるとは限らない。障がいの程度によって「どの進路が適切なのか?」を判定される。

例えば保護者はサポートありで保育園を希望していても却下されることがある。そうなったら療育園。逆に療育園を希望していても「療育は必要ない程度の障がいである」との意味合いで療育園の審査で落とされることもある。

もうほとんど一般的な受験と同じノリ。この時期、事務所には「A園決まりました」とか「B園、サポートで決まりました」みたいな電話が入ってくる。

では、いったい何が決め手で判定されるのか…と言うと、そこは複雑な事情が絡み合ってくる。

絶対に必要なのは発達検査の結果。お子さんの発達段階によって「適切である」と思われる進路先が提示される。

サポート付きで一般の園に入りたい場合、園に受け入れ体制があるかどうか? 加配の保育士を確保できるかどうか? というところが難しい。「インクルーシブを進めましょう」とか言ったところで無理なものは無理なのだ。医療的ケア児の場合、ちょっとしたミスが命に関わることもある。

……と、そんな訳で今は職場の空気がなんとなくナイーブになっている。

希望の進路に進むことが出来る親子は良いけれど、そうじゃない場合は保護者の方の気持ちが不安定になってしまう。そして保護者の不安定な気持ちは子どもにも伝わる…と言う流れ。

「障がいが無い子だって保育園入るの大変なんですよ」って話ではあるけれど、健常児の保育園入園の場合、最悪お金さえあれば解決できることが多い。例えば…だけど幼稚園に入れて降園後はシッターさんにお願いする…とか。だけど障がい児の場合はそうもいかないのだ。お金を出したところで受け入れてくれる人も場所もない。

マンパワーが足りなさ過ぎるのだもの。無理なものは無理。そして、そのしわ寄せを子ども達が被っている。

進路を選択できない不自由さ、どうにかならないものかなぁ…思うだけで、どうすることも出来ない現状を苦々しく思っている。

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