小説を読むのがしんどくなってくるとエッセイとかノンフィクション作品を読むことにしている。
『ウルトラマン創世記』はウルトラマンシリーズを制作した円谷プロの裏話集…みたいな立ち位置の作品。
私は昭和47年生まれ。何だかんだ言ってウルトラマン育ちだし、円谷プロの作品は沢山観てきた。男兄弟がいたから…ってところあると思う。私の世代だと『ウルトラマンセブン』が圧倒的に大人気だったように記憶している。
家には弟の『ウルトラマン大百科』という子供向けの本があり、私も『ウルトラマン大百科』を隅から隅まで熟読していた。
どうでも良い話だけど私の推しウルトラマンは『ウルトラマンエース』一択。北斗と南の2人が共同で変身してウルトラマンになる設定が大好きだった。当時はプリキュアなんて無かったので、ウルトラマンに変身する南隊員は憧れの存在だった。
ウルトラマン創世記
- 女優・桜井浩子が書き下ろした特撮裏話。
- 本初の特撮テレビ番組「ウルトラQ」と「ウルトラマン」に出演した作者が20人以上の関係者にインタビューして書かれたノンフィクション。
- 番組の成立事情や撮影方法、未公開の写真や設定資料、出演者の座談会なと。
- ウルトラマンの円谷プロの軌跡。
感想
とりあえず読んではみたものの、エッセイやルポルタージュとしては面白くなかった。お世辞にも上手で読みやすい文章とは言えない。ただ円谷プロやウルトラマンのファンで「楽屋裏も気になる」ってタイプの人なら、そこそこには面白いと思う。
「読んで良かったな」と思ったところもある。ウルトラマンを制作してきたスタッフ達の熱い思いや仕事に対する姿勢は素敵だと思ったし「子ども向け番組だけど本気で作っていた」ってところが一貫していて良かった。
だけどウルトラマンシリーズに登場した役者達の座談会とか思い出話は「年寄の自慢話」を延々と聞かされているような気がして辟易してしまった。
特に作者の桜井浩子の飲酒エピソードは無くても良かったと思う。今と昔とでは時代が違う…はいうものの、未成年での飲酒や仕事中に飲んでいた…みたいな話をドヤ顔(かどうかは分からないけれど)で語るのはどうかと思う。時代が違えば価値観が違ってくるのは当たり前だし、当時のことを責める気はないけれど「昔は俺も悪かったんだぜ」と語る元不良少年のようだった。
たぶん私は作者である桜井浩子の人柄が好きになれなかったのだと思う。
ウルトラマン制作に賭ける円谷プロのスタッフ達の情熱は素敵だと思ったし、当時のテレビ業界の状況を知ることが出来たのは良かったけれど「本」としては好きになれない作品だった。