『月の立つ林で』が良かったので続けて青山美智子の作品を読んでみた。
『赤と青とエスキース』は『月の立つ林で』の前年に発表された作品で2022年本屋大賞2位とのこと。
初めて読んだ作品が気に入ったものだから期待値が高かった…ってこともあるだろうけど『青と赤のエスキース』はイマイチ好きなれなかった。ただ『月の立つ林で』の前年に発表された作品だ…って事を考えると青山美智子は作家として成長していると言えるのかも知れない。
赤と青とエスキース
- 2023年本屋大賞5位に輝いた作品。
- メルボルンの若手画家が描いた一枚の絵画（エスキース）をめぐめ物語。
- 『エスキース』は日本へ渡り、「ふたり」の間に奇跡を紡いでいく。
- 5章からなる連作短篇。
感想
『青と赤のエスキース』は『月の立つ林で』と同じく連作短編。青山美智子は連作短編形式が得意なのだと思うのだけど、構成にしても仕掛けにしても「上手い」と言えば上手い。
ただ、なんと言うのかな…完全に好みの問題なのだけどヒロイン格の登場人物にとって都合の良い人間ばかりが登場するのが鼻についた。章ごとに主人公が変わっていくのだけど、特に女性登場人物は「ラノベもビックリだね！」としか思えないほど理由なくパートナーから愛されているのが気になった。
……そうじゃない…そういうのじゃないんだよ。
各章の主人公はそれぞれに悩みをか抱えていて懸命に生きているのだけど、微妙に性格がウザったい。そしてそのウザったい主人公を無償の愛でさ支えてくれるパートナー達。ハーレクイン・ロマンスとか理由なく主人公がモテモテになる系のラノベが好きな人なら面白いかも知れないけれど、大人の読み物としてはどうかと思った。
一応、大人向けのレーベルで出ているものの中身は完全にラノベだと思う。ラノベならラノベとして書いてくれていたら「まぁ…ラノベだし、こんなもんだね」と思えただろうし、むしろ「ラノベにしては良く出来ているな！」と感心したかも知れない。
だけど大人向けの小説として出されるとコレジャナイって思ってしまうのだなぁ。
期待して読んだだけにガッカリではあったけれど、発表された順に読んだ訳ではないので『月の立つ林で』の前はこんなイマイチな作品を書いていたんだなぁ～ってことで次の作品に期待したい。
