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ジャムの空壜 佐川光晴 新潮社

真面目な人間が書いた、真面目な作品だと思う。

ただ、ちょっとその真面目さが怖いような……居心地の悪い印象も受けた。不妊治療をしている男性が主人公で物語は主人公と、その妻の人工授精を受ける過程が軸になっている。

長さからいうと「中篇」だと思うのだが、彼らには名前が付いていなくて主人公は男。その妻は妻。

登場人物に名前が無いのも居心地の悪さを助長していたように思う。短編なら主人公に名前がなくても気にならないのだが、少し長い作品になると、主人公に名前がないと、不思議と落ち着かないらしい。

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ジャムの空壜

職を失った男は司法試験を目指して勉強中。妻は小学校の教師。結婚後四年、不妊症であることが判明した二人は、人工授精に挑戦する…。自らの体験をモチーフにして綴った、芥川賞候補作。

アマゾンより引用

感想

妊娠だの、出産だのといったテーマは女性作家の領分……とは思わないが、なぜか男性作家が書いた、その類の作品は少ない。

なので、それだけでも興味深く読めるのではないかと思う。「不妊治療」というデリケートな部分を描いていて、しかも不妊の原因が男性側……というのは、かなり衝撃的だった。

文章は丁寧で、読みやすいのだが、冷たい感じがしてモチーフによく合っていた。

小川洋子が男性だったら、こんな文章を書くかもな……という印象。だけど、やはり男性の書いたものであり、感覚的に違うようには思ったけれど。

私が今まで読んだことのないタイプの作品であり、文章だったので新鮮で、刺激的だったが、まだ慣れていないせいか読み心地は悪かった。

特に印象に残ったのは、男が妹の妊娠を知った場面。

義弟から「おかあさんになることになりました」と聞かされて主人公は妊娠が、単純に「母になる」「父になる」と結びつくのかと疑問に思い、そのことについて、考えるくだりは、かなり良かった。

私の知人にも不妊治療をしている人がいて主人公とまったく同じことを話していたことを思い出してしまった。

世の男性達は、どれくらいの割合で主人公に共感できるかは分からないけれど男性が持っている「妊娠観」とか「出産観」を垣間見ることが出来て良かった。

「1度読んだら、お腹いっぱい」で、再読する機会はないかも知れないが、ちょっと不思議な感覚が味わえる、読み心地は悪いが良い本だと思った。

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白い木蓮の花の下で
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