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遍路みち 津村節子 講談社

やっぱり好きだなぁ。この作津村節子の文章。なんかこう…品があって良い。

品があるけど取りすました感じがしないのが、とても良い。

御主人である吉村昭氏を亡くしてから3年。正直なところ「もう、この人の新作を読むのは無理かもなぁ…」なんて思っていたけれど、こうやって新しい本が出版されることになり、ファンとしては嬉い限り。

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遍路みち

夫・吉村昭氏の死後、氏に関連する来客や電話の応対に明け暮れた日々。

三年が過ぎ、再び筆を執った著者が身辺のことを綴った小説集。

長年過ごした自宅を建て替え、独り誰も知る人のいない温泉地に滞在する。けれど何をしても感じているのは、夫の気配と思い出だった。

アマゾンより引用

感想

表題作を含む5編が収録された短編集。

それぞれ独立した話で、話自体に関連性はないのだけれど、どの作品も亡き夫への追悼と、夫を亡くして1人で生きる御自身の姿が描かれてあった。

あとがきにも「これを書いたためにいくらか気持ちの整理がついたような気がしている」と書かれてあった。きっとこの短編集は作者が夫の死を整理し、作家として再び活動するための大きな区切りだったのだと思う。

それにしても、作家の業って凄い。「書きたい」のではなくて「書かずにはいられない」のだから。

不治の病に冒された夫を気にかけつつも、それでも仕事を優先してしまったくだりや、夫の死後、それを後悔しつつもやはり「書くしかない」と書きはじめてしまうあたりにグッっときてしまった。

それでこそ作家なのだと思う。

どちらかと言うと津村節子は「いかにも作家だなぁ」と言うような、奔放なイメージはないのだけれど、書くことへの情熱は内に秘めるタイプだったのだろうなぁ。

私はまだ結婚して4年ほどしか経っていないので、長年1人の人と連れ添うという感覚は分からないし、ましてや伴侶を亡くす辛さは想像もつかない。

でも、この作品からは伴侶を亡くした寂しさや、言いようのない喪失感が伝わってきて、いつか自分も体験するだろうことについて、少し考えさせられた。

津村節子自身、かなりの御高齢なので、若い作家さんのようにガツガツ作品を出すのは無理かも知れないけれど、また長編作品を読ませて欲しいなぁ……と思った。

作家は書かずにはいらりない業を背負っているようだけど、読者は作家の都合なんておかまいなしいに「是非読みたい」と貪欲に欲する生き物なのだ。

津村節子の次の作品に期待したい。

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白い木蓮の花の下で
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