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少年の日に 木下順一 河出書房新社

なにやら、すかした言い方で気恥ずかしいのが、毎日のように何某かの本を読んでいると「出会うべくして出会う本」に行き当たることがある。

この作品は今の私にとって「出会うべくして出会う本」だった。

とりたてて上手い小説ではないと思うのだが、私が読むべき1冊だと感じた。。我が身を振り返ってみたり、主人公と共に憤ってみたり、そんな親しさを感じる作品だったのだ。

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少年の日に

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不治の病である結核菌に冒された私の右膝。どんどん進行し、内臓も冒しかねない病魔を食い止めるには、右足切断しかなかった…。

差別する昭和と戦った、片足の少年の物語。

アマゾンより引用

感想

幼年期に右足を切断した作者が、幼年期から青年期までの自分を振り返って書いた私小説だった。

ちょうど第二次世界大戦の真っ只中で思春期を迎えた主人公は、片足が無いということで理不尽な目にあい、世を拗ねてみたり、自分を諦めてみたり、とかく陰気に暮らしてみたりなんかする。

今の時代の感覚からすると「なんて酷いんだろう」と思うようなことが公然と行われていた。

そういう時代だったからだと言ってしまえばそれまでなのだが、主人公が抱いた悩みは、たぶん現代にも存在するだろうと思うだに、ちょっぴりやりきれない物があった。

身体が不自由であるがゆえに、陰気に考えたりすることの多い主人公だが、当然ながら成長する部分があったり、新しいことを吸収したりして、すこしづづ逞しくなってゆく。

事実を踏まえた私小説なだけに、ラストは「すっきり気持ちの良いハッピーエンド」という感じではないのだが、それでも、ほんのりと希望が見出せて、ちょっとばかりホッとした。

実際に何か大きな壁にぶつかった時というのは、物語のように気持ちの良い解決が待っているのではなく「なんとなく気がついたら、どうにかなっていた」ということの方が多いという事実を思えば、モヤモヤとして締めくくり方は、かえってリアリティがあったように思う。

まったくもって作品とは関係のない話なのだが、この秋は事故で左手の指を2本失った愚弟が社会復帰をする予定なのだ。

今は自宅療養中なので、なんだかんだ言ってもぬるま湯生活だが、これからはそうも言っていられないだろうと思う。

私が肩代わりしてやれる訳でもなく、姉弟と言えど、厳密にいえば他人事なのだが気になることこの上ない。

たぶん、これからの方が、ずっと大変だろうと思うのだが、この本を読んで「なんとかなるだろう」という気持ちを一層強くした。

たぶん文学史には残らないだろう作品なのだが、私はきっと一生忘れることができないだろうと思う1冊だった。

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白い木蓮の花の下で
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