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映画『みかんの丘』感想。

『みかんの丘』はエストニアとジョージアの合作映画。

アブハジアがジョージアから独立を求めた「アブハジア戦争」が舞台の物語。東欧諸国って地理的にも歴史的にも馴染みがなくて、私は映画を観るまで「アブハジア戦争」って言葉も知らなかった。

87分と言う短めの作品だけど、ロシアがウクライナに侵攻しているこのタイミングで視聴したので、色々と考えさせられた。

今回、最終的な結末は伏せていますが、軽いネタバレが含まれるので「絶対にネタバレは嫌だ」って方はご遠慮ください。

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みかんの丘

みかんの丘
監督ザザ・ウルシャゼ
主演
  • レンビット・ウルフサック
  • エルモ・ニュカネン
  • ミヘイル・メスヒ
  • ギオルギ・ナカシゼ
  • ライボ・トラス
音楽Niaz Diasamidze
公開

2013年10月15日

ざっくりとこんな内容

物語の舞台は新たに独立したジョージアのロシアが支援する分離主義地域であるアブカジアのエストニア人の田舎の村。

主人公のイヴォと友人のマーガスはエストニアに逃げずに村にとどまっていた。マーガスは、儲かるみかん(マンダリンオレンジ)の収穫を待ち望み、大工のイヴォは、みかんの木箱を作っていた。

ある時、2人のチェチェン傭兵が村を訪れ、イヴォに食べ物を要求する。彼らはマーガスの家の前でジョージアの兵士との戦いに身を投じる。

戦いの末、チェチェン人のアーメドとジョージア人の兵士のニカは重傷を負いながらも生き残り、イヴォは彼らを自宅に連れて行く。

敵同士の2人だったがイヴォは屋根の下で復讐を果たさないという誓いを立てる。

1つ屋根の下で過ごしながら命の危機を脱した2人は「敵同士」であるからこそのいがみ合ってくが、イヴォの仲裁もあって、2人は互いを尊敬し友情のようなものを感じるようになっていく。

しかし……

プーチン大統領に観て欲しい

物語の舞台は見るからにパッとしない田舎の村。多くの人々は戦争を避けるために逃げ出しているけれど、ポツリポツリと残っている人がいる…って設定。

主人公のイヴォ老人は大工だけど、みかん(マンダリンオレンジ)農家のマーガスが収穫したみかんをいれる箱を作って1人で暮らしていた。

それにつけても、自分の住んでいる場所が突然攻撃されたり、兵士がやってくる理不尽さと言ったら!

どんなに立派な大義名分があったとしても、やられる側からすれば「いや…俺ら知らんし…っ」って感じだと思う。実際、マーガスはそれでもマンダリンオレンジを作り続けていてマンダリンオレンジのことばかり考えていて「なんかちょっと分かるかも」って思った。

一般人って自分の身の回りのことしか見えていなくて「自分がそこそこ楽しく暮らせてやりたいようにやれればいいか」くらいの感覚の人が多いと思う。まぁ…私が完全にそのタイプなんだけど。

イヴォ達も自分達の生活を続けながら戦争に巻き込まれている現実にうんざりしていたのだと思う。

敵味方が1つ屋根の下に暮らす

マーガスがマンダリンオレンジ収穫し、イヴォはマンダリンオレンジを入れる木箱を作り続けている訳だけど、戦闘によって傷付いた兵士を助けて自宅で看病することになる。

1人はチェチェン人の傭兵アーメド。もう1人はジョージア人の兵士のニカ。アーメドは比較的軽症だったけれど、ニカは頭に傷を負っていてかなりの重症。しかし2人もイヴォに命を救われて、1つ屋根の下で療養することになる訳だけど、当然ながら仲良く出来る訳がない。

何かと言うと戦おうとするし、罵り合うしもう大変。だけど2人とも命の恩人であるイヴォ老人には頭が上がらず「この家で殺し合いはしない」と約束させられる。

そうこうしながらも、毎日同じ食卓でイヴォの作った料理を食べて、イヴォの淹れたお茶を飲む中で敵味方だった2人の関係が少しずつ変わっていくのだけど、そのあたりの流れが素晴らしく良かった。

国同士は憎しみ合っていたとしても「1人の人間同士」になれば、そんなの関係無くなっちゃうのだなぁ。そして言っちあなんだけどチェチェン人のアーメドに至っては家族を食べさせるために傭兵になったに過ぎなかった…ってことも分かってくる。

いつしか2人の間には友情のような感情さえ芽生えてきて「イイハナシダナー」な展開が止まらない。

理不尽極まりない展開

さて。この『みかんの丘』。「イイハナシダナー」と思わせておいてからの無慈悲展開がなかなか凄い。戦争映画なんだから仕方ない…と言ってしまえばそれまでだけど「みんな幸せになりましたとさ」って風には収まらないのだ。

今回、大事なところのネタバレは避けたいので詳しい展開は書かないけれど、これだけは書かせて戴く。

敵味方で好きあらば戦おうとしたり罵り合っていたアーメドとニカなのに、最終的には互いの命を救おうとする展開には泣かされた。

そうなんだよなぁ…1つ屋根の下、一緒にご飯食べてお喋りしてたら情が湧く。そもそも敵味方って言ったってお互い、個人的な恨みがあった訳でもないのだもの。

きっとウクライナに侵攻しているロシア人兵士もウクライナ人に対して個人的にどうのこうの…って訳じゃないのだろうなぁ…なんて事を思ったりした。

映画を観る時って、どうしてもハリウッド系に目がいきがちだけど、いままで目を向けてこなかった国の映画にも名作があるのだなぁ~と思い知らされた。

興味のある方は是非。今の世界情勢と重ねて視聴できる良い作品だった。

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白い木蓮の花の下で
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