私は年中、本の置き場所に頭を痛めているのだが、中でも場所を取るのが児童書だの絵本だのといった類のものだ。
絵本はかなりの数を処分したのだが、それでも「どうしても手放せない」ものは残っていて、この作品もその中の1冊である。
子供の頃に大好きだった作品だが、今でも大好きだ。もっとも、子供の頃と今とでは「好き」の方向が違っているのだけれど。
ひみつのかくればしょ
- 主人公は小カバのヒッポちゃん。
- ヒッポちゃんは大人のカバに大事にされ過ぎて、嫌になっちゃったカバ。
- 大人達はみんなヒッポちゃんのことが大好きなのだが、ことにチャールス兄さんの溺愛っぷりと言ったら、どうしようもない。
- ヒッポちゃんは「1人になりたい」と思い、自分だけの隠れ場所を探すが…
感想
カバじゃなくても「隠れ場所」というか、避難場所のようなものは必要だと思う。ちょっと息抜きできる場所とか、1人になってボーっとできる場所とか。
そこは静かな場所でなくたっていいのだ。「1人になる」のがポイントなので、雑踏の中だって構わない。人は1人では生きていけないけれど、ずっと誰かと一緒にいるのも気詰まりになってしまう訳で。
子供の頃は、ヒッポちゃんの奮闘にドキドキして読んだものだが、今になってみると、ヒッポちゃん渇望が痛いほど理解できる。
「ああ私も(俺も)ひみつのかくればしょが欲しい」と思っている大人は、あんがい多いんじゃないだろうか。
大人目線で読み返すと、イラストの愛らしさが素晴らしく素敵だ。カバのお尻のラインがなんとも言えない魅力に溢れている。
とくに「ちょっと不貞腐れたヒッポちゃん」の表情など、抱きしめたいほどの可愛らしさだ。
ものすごく好きな作品なので、たまに開いたりしてみるのだが、あまりメジャーな作品ではないらしくグーグルで検索をかけてみても、あまりヒットしなかった。
「じつは私も好きでした」って方がいらしたら、ぜひ声を掛けてくださいませ。
……いや。何かしようという意図はないのですが、ただなんとなく「いい本でしたねぇ」と共感を分かち合いたいと。
イラストの色使いも、なかなかお洒落で超・お勧めの1冊なので、図書館等でお目にとまった折には、ぜひとも手に取っていただきたいと思う、作品である。