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果ての海 花房観音 新潮社

久しぶりに初挑戦で「この作家さんの作風は好み!」と思える人に出会ってしまった。花房観音…どうして今まで私の本好きレーダーに引っ掛からなかったのだろう?

団鬼六賞を受賞して騒がれていたのは覚えているのだけど、なんとなく手に取ることのないまま、ここまで来てしまった。

なんかエッチでとても良い。文學界の壇蜜って感じ。

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果ての海

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ザックリとこんな内容
  • 主人公は長年の愛人として暮らしてきたシングルマザーの圭子。
  • 圭子は内縁関係にあった愛人を殺した罪で警察に追われる身となり、娘を捨て、出会い系で知り合った男の手引きで顔を変え、新しい名前を手に入れる。
  • 圭子は自分とは別の人間として温泉旅館で働き始めるが……

感想

花房観音の『果ての海』。私は面白く読んだのだけど、正直なところ男性が読んで面白いかどうかは分からない。女性目線で描かれた作品なので女性なら、どこかしら入り込むことの出来る要素がある気がするけど、男性にそれが出来るかはよく分からない。

『果ての海』は一応、サスペンスタッチになっているものの、サスペンス要素は低くて文学寄りの内容になっている。謎解きとかサスペンスのドキドキ感を味わいたい人にはオススメできない。

主人公の圭子はシングルマザーで愛人をしていた女性。警察に追われる身になって、整形して温泉宿の仲居をするだなんて、昭和時代に流行った『火曜サスペンス劇場』みたいなノリ。

実際、昔は事情のある女が温泉宿の仲居になるケースはあったのだと思う。私が10代の頃は新聞広告の求人欄に温泉旅館の仲居の仕事が載っていて「寮完備」みたいな事が書かれていた記憶がある。

そして私は子ども心に「自分が食い詰めるようなことがあったり、何もかも捨てて1から人生を出直したいと思ったら温泉旅館の仲居になれば良いのだな」と理解した。

……そんな陳腐な設定を本気で突っ込んでくるとか!

最初は「うわぁぁ。安っぽい設定だなぁ」と思って読みはじめたのだけど、読んでいるうちにグイグイ引き込まれてしまった。

そもそも「愛人をしていてたシングルマザーの女」なんて設定だと、なとなくお色気ムンムンの軽薄な女をイメージしそうなものだけど、圭子はそんな感じではなくて、なんかこう…上手く言えないけど好感を持ってしまった。

圭子の子どもはすでに大人なのだけど、それにしても「殺人犯として逃げる母親なんてクズ過ぎんか?」と、いつもの私なら思ってしまいがちなのに、不思議とそんな風は思えなかったのだ。(ちなみにその理由は後で解明される)

昭和的なノスタルジーと現代感が入り乱れている空気も良かったし、何より登場人物達が魅力的だった。私が主人公の圭子以外で好きになったのはストリッパーのレイラ。どれくらい好きになったかと言うと「私も1度、ストッリップ劇場でストッリップを観てみたい」と思ってしまうほど。ちなみに、最近はストッリップ劇場に足を運ぶ女性もいるらしい。(と作中でレイラが言っていた)

物語自体も面白かったけど、女性の心理描写が最高だった。女性の心をこんなに丁寧に描いた作品を読んだのは久しぶりかも知れない。

花房観音の作品を読むのは初めてだけど、他の作品も読みたいと思う。

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白い木蓮の花の下で
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