HPの掲示板(現在は閉鎖しています)で『梨とり兄弟』の話題から「三兄弟もの」の話が出たのに刺激されて、そう言えばパターンの違う三兄弟ものがあったような……とて再読してみた。
三兄弟ものというのは、たいてい末っ子が成功する筋書きになっていて、兄の2人は愚かな役割をふられることが多い。
また三姉妹にしても、末娘が幸せをつかむのが定番になっている。
シンデレラも末娘(義理の姉妹だったが)だったし、美女と野獣のヒロイン、ベルも三姉妹の末娘だった。
三びきのやぎのがらがらどん
大きさの違う3匹のやぎがいた。名前はみんな「がらがらどん」。ある日、3匹は草を食べて「ふとろうと」(太ろうと)、山へ向う。
だが、途中で渡る橋の下には、気味の悪い大きな妖精「トロル」が住んでいて…。北欧の民話をベースにした物語。
アマゾンより引用
感想
三兄弟もので、末っ子が成功するのは黄金パターンであり、それはそれで面白いのだが『三びきのやぎの がらがらどん』については三兄弟でありながら、長兄が大活躍する物語である。
大きくて、力の強い、おにいちゃんが化け物を退治するこの物語では通常の「三兄弟もの」で大活躍するはずの末っ子は、なにやら甘えっ子で、はなから兄を頼る姿勢をとっている。
二番目も、末っ子よりは、しっかりしていそうだが、やはり、長兄を頼りきっていてなにもしない。強いおにいちゃん、たくましいおにいちゃん、ビバおにいちゃん!
弱いはずの者が活躍するパターンが多い物語の世界において強くてたくましい長兄がトリを務める物語はかなり珍しい。だが面白い。
大きい=強い という見たまま、そのままの物語だが、その分かりやすさは以外にも新鮮で、しかも胸のすく物語なのだ。
そして……「3」という数を上手く活用しているように思う。小さい→ちゅうくらい→大きい というテンポの良さが楽しさを倍増させているようだ。
たまには……おにいちゃんが活躍したって、いいじゃないか。そんな風に思ってしまう、楽しい1冊である。