『いまを生きる』は1990年に公開されたアメリカ映画。第62回アカデミー賞で脚本賞を受賞している。
劇場で観たの日のことが昨日の事のように思い出されるのに、もう30年も前のことだなんて。
夫が「そう言えば観たことがない」と言うので、レンタルで借りてきて今さらながら視聴した。
『いまをいきる』と言う題名とDVDのジャケットを観て「教師と生徒が繰り広げる心温まる物語に違いない」とワクワク予想している夫を見て、映画を観たことのある私は「お…おぅ」みたいな気持ちになってしまった。
今回の感想はガッツリとネタバレを含む内容になるので、ネタバレNGの方はご遠慮ください。
いまを生きる
いまを生きる | |
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Dead Poets Society | |
監督 | ピーター・ウィアー |
脚本 | トム・シュルマン |
製作 | スティーヴン・ハーフ ポール・ユンガー・ウィット トニー・トーマス |
出演者 | ロビン・ウィリアムズ ロバート・ショーン・レナード イーサン・ホーク |
音楽 | モーリス・ジャール |
公開 | 1989年6月2日 1990年3月24日 |
あらすじ
1959年、バーモントの名門全寮制学院ウェルトン・アカデミーに、英語教師ジョン・キーティング(ロビン・ウィリアムズ)が赴任してきた。
ノーラン校長(ノーマン・ロイド)の方針は、厳格な規則で学生たちを管理する事だったが、キーティングは教科書を捨てさせ、詩の本当の素晴らしさ、生きることの素晴らしさについて教えようとする。
キーティングの自由な授業に、生徒たちは徐々に感化され、自由な人生を選ぶことの大切さを知る。
そんなある日、生徒のニール(ロバート・ショーン・レナード)は、教師キーティングが学生時代に作っていた「死せる詩人の会」を復活させようと呼びかける。
同級生ダルトン(ゲイル・ハンセン)ノックス(ジョシュ・チャールズ)、トッド(イーサン・ホーク)達も賛同し、「死せる詩人の会」が復活。「死せる詩人の会」の活動を経て生徒達はは自由に自らの人生を生きたいと望むようになる。
そんな中でニールはずっとやりたいと思っていた俳優を志す。しかしニールの厳格な父親(カートウッド・スミス)は決して許そうとはせず、ニールは……
ロビン・ウィリアムズ版『金八先生』?
『いまを生きる』公開当時、かなり話題になっていたように記憶している。
とりあえずロビン・ウィリアムスの当たり役で『いまを生きる』以降、ロビン・ウィリアムズは『レナードの朝』や『パッチ・アダムス トゥルー・ストーリー』等、いい人役と言うか、いい先生役が次々と演じることになる。
とりあえずロビン・ウィリアムズ演じるキーティング先生の授業を受けてみたいと思った人は多いと思う。私もその中の1人だ。
ただ、気をつけて欲しいのは『いまを生きる』は『金八先生』のように感動系ヒューマンストーリーではない。
アメリカ映画にめずらしい衝撃的なラスト
- 自由に生きるって素晴らしいぞ!
- 自分の人生は自分で切り開いていこう!
名門私立学校で学ぶ生徒達はキーティング先生に感化されて「自由に生きること」に目覚めていく。抑圧されていた若者達が徐々に本当の自分を取り戻していく姿は実に素晴らしい。
「いい話だなぁ~」って流れが続くのだけど、ラストで役者を志いていたニールは親の反対に逆らうことが出来ず、拳銃自殺してしまう。
「いい話のアメリカ映画」だと思って観ていたのに突然の不幸!
映画館で観た時の衝撃ったらなかった。
フランス映画、イギリス英語ならありがちな展開なのだけど、ハッピーエンド大好きなアメリカ映画では珍しい展開だったし、だからこそアカデミーの脚本賞が獲れたのだと思う。
キーディングは本当に良い教師だったのか?
30年前に『いまを生きる』を観た私はニールが拳銃自殺をしてしまうオチにモヤモヤしてしまったのだけど、改めて観るとキーディングの指導に疑問を抱く。
「自由って素晴らしい」「自分の人生は自分で切り開いていこう」と言うキーディングの教えは正しい。
しかし、何の根回しもせず自分の教えたいことを子ども達に教えることが本当に良い教師と言えるのだろうか?
別の方向から見るとキーディングは自己満足の塊とも思えてしまうのだ。
ガチガチの規則で固められた名門私立高校で、校長からも目を付けられている教師が好き勝手にしていたら、仮にニールの拳銃自殺がなかったとしても遅かれ早かれトラブルが起きていたと思う。
キーディングが改革していく教師なら良かったのだろうけど、不幸にもキーディングは「教えたいことを教える教師」でしかなかった。
教師は子どもにとって、あくまでも他人。他人が関与出来る領域はほんの少ししかない。
私自身、放課後等デイサービスで働いていて子ども達の「踏み込めない領域」や、子どもの親との関わりについて色々と思うところがあるだけに、キーディングのことを素直に「良い教師」とは思えないのだ。
30年経って観た『いまを生きる』は、私がこの歳になったからこそ気付くことの出来た発見があった。本当に良い映画って、そう言うものなんだな…と思う。