小説家の書く随筆を読む時は「この作家さんって、どんな人なんだろう」という興味から手に取る事が多い。
もちろん、そんな事など関係無く手に取ることもあるのだけれど。今回の場合は「作家に興味があったから」手に取ってみた。
そういう気持ちで読み始めると「その作家さんが、いままで以上に好きになる」か、あるいは「軽く失望する」の2つに分かれることになるのだが、今回は残念ながら軽く失望した。
地に伏して花咲く
両親の愛を一身に受け、芸妓屋という家業に悩む、病弱で繊細な少女時代。17歳で結婚ののち渡った満州で終戦、苦難の引き揚げ。
「創作」への目覚めと静かな決意。離婚、上京、そして作家として多忙な日々―。宮尾文学の精神風土をつちかった、起伏にとんだ実体験を、昭和の流れに沿ってたどる自伝的エッセイに、数々の名作の背景や登場人物の素顔まで、「人と作品」の全貌がうかがえる文章を加えた。
淡々とした語り口の中に、「生」に向ける強靭な意思と弱者への深いまなざしがあふれ、読む者の心を感動でうめる一書。
アマゾンより引用
感想
作家さんに読者のイメージを押し付けるつもりは毛頭ないし、そんなの勝手な妄想に過ぎないのは分かっているのだけれど、なんとなく作者は「女の鏡」みたいな人だろうな……と想像していたのが悪かった。
どちらかと言うと、私がもっとも嫌いなタイプの女性だった。
宮尾登美子の書いた作品に出てくる登場人物で言うと『鬼龍院花子の生涯』の花子のイメージがもっとも近い。
いい年をして自己弁護が過ぎるのが見苦しいのと、その年齢の女性の発言とは思えないほど幼稚なところがあって、ほとほと呆れてしまった。
宮尾登美子は誰かに寄生して生きるタイプの人なんだなぁ……と思う。個人的には苦手としか言いようがない。
だが、作家という商売は自分勝手で、自己弁護が過ぎるくらいの人でないと務まらないのかなぁ……とも思う。
実際のところ「作家」という職業についている人は、自分勝手な人が多いように思う。それなのに好きだと思える人と、嫌いな人が出てきてしまうから不思議である。
もはや、個人的な趣味嗜好としか言いようがない。
作品の中に書かれてあることの、ほとんどに賛同出来ない……という、私にとっては、ある意味において貴重とも言える1冊だった。